…それから、僕は…今花畑に来ている。
ここはあの時、アイリスが来たいと行った花畑にそっくりだ。
ここにアイリス、レイティス、ライクレット、そして女神達の墓標を立てた。
決して忘れないように。
それは小さくてとても墓標とは呼べる代物ではないかもしれないけど。
でも彼らに何かしたかったから。何もせずにはいられなかったから。
――ねぇ、アイリス。僕は今君にどう見えているのかな
皆の事を思い出すと、必ず最後は君の事を思い出してしまう。
笑ってしまうよね。
表では何ともないように振舞っていて、皆の前で笑顔を繕っているのに。
こうしてココへ来ると、君を思い出してこんな顔をしているのだから。
ウルズは思わず言葉に出してしまった。
「…花、綺麗だね…」
そんな涙ながらに呟いた瞬間だった。
爽やかなそよ風が彼の横をすり抜けた。
その暖かい風はまるで彼の名前を呼んでいるかのように。
「…!」
彼は思わず後ろを振り向いた。
そして、そこには…
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