「・・・ふ、フフフ・・・・。僕が負けるなんて・・・」
そんなもう何も出来ない状態で彼は、最後の笑みを零した。
そんな不自然に笑うライクレットにウルズは彼の名前を呼んだ。
「ライクレット・・・・」
「…君の言っていた事は、分かっていたよ」
ライクレットは静かに、ウルズに言う。そんな彼をウルズは黙って見つめた。
「・・・・」
「全てはきっと、僕の心が弱かったんだ・・・。人間を、自分達の世界を信じれなったんだ」
そんな全てを悟ったような声だった。いや…本当にきっと分かっていたんだと思う。
その言葉を聞いてウルズは静かに目を閉じて言う。
「・・・きっと、それは仕方ない事なんだよ・・・」
「仕方ない?」
仕方ない。そんな想定外の言葉にライクレットは思わず聞き返した。
そしてウルズは答える。
「生きている限り、本当の強い心など存在しないんだ。それは例え神であっても」
そんな答えに、ライクレットは微笑みながら言う。
「そうか・・・、そうだったんだろう・・・・。けど、これだけは信じて欲しい。僕は世界も、人も、愛していた・・・・・」
ライクレットの本音。ウルズはその本音に、自分の考えをぶつけた。
最後に分かりあいたい、そんな気持ちを乗せて。
「だから、世界にも人も生まれ変わらせもっと良い未来を与えてあげたかった・・・」
「それが間違っているんだよ、末来は誰かに与えられるものではないんだ。
・・・・自分達で切り開いていく・・・。そうでなければ意味がない」
「ふ、ふふ、本当に君がの言うとおりかもしれない…ニンゲンは凄いや。ああ、空が眩しいな・・・・」
ライクレットが空を見上げる。
それは、美しく、広大で、かぎりのない青空。
かつて神と名乗った少年が大好きだった、世界の空だった。
《ライクレット・・・・》
「・・・・あぁ、君か・・・・」
ライクレットは、そこには居るはずのない「彼女」を見つめた。
「あんなひどい事をしたのに、僕の事を迎えに来てくれたんだね・・・。レイティス・・・・」
《ええ・・・》
「僕の事を許してくれるかい?レイティス・・・?」
《・・・仕方のない人ね・・・・》
「ありがとう・・・、レイティス・・・・」
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