6話 兄弟 
2人を乗せた純白の起動兵器は北の地へと向かっていた

「この辺で1回休憩しましょ」

少女はオアシスのような場所で一旦マシンを一時停止させる。
少女はその場所で又何かを探し始めた

「聞きたい事がある」

少女にウルズは口を開いた。

「ん?何?」

「何故君は
あの2人の場所がわかる?
クレイドルには崩れ落ちた
残骸しか残っていなかった。」

「よく見ているのね」

少女はウルズの観察力に感心する。


「なのに君はそこから、
的確に生死を判断。
しかも北に向かったとまで
言い切った。
どういう事だ?」

「…君は、
新西暦のデータベースをどこまで
見た事があるの?」

「…大体は目を通してある」

ウルズは木に寄りかかり手を組んで、答えた。

「念動力者ってのは
聞いた事があるかしら?」

その問いにウルズは、
自分のメモリーから
念動力者の事を検索した

「…手を触れずに
物体に干渉したりできるらしいね」

「ええ。
私はそれをある程度
自由に使えるの。
今使ったのはサイコメトリー」

「サイコメトリー…
物に宿った記憶を読み取る
と言う…やつか」

「当たり。
それ使って
ご兄弟の居場所を見つけた。
どう?これで納得できたかしら?」

少女は泉に足を浸けると足をバタ足させ、少年の方を振り向く

「信用できないなら、
何か見せましょうか?」

そんな少女に少年は答えた。

「いや…いい。
それは僕の兄弟を見つける事で
証明してもらうさ」

「それは、どうも。
けれど見つけても
完璧無事とは限らない」

「どう言う事だ?」

「私のサイコメトリーは、
完璧ではないの。
ある程度知りたい物の
情報を知らないと的確に
記憶を読めなくてね。
音声とか飛び飛びになっちゃたりするし」

「それで様子が
可笑しいというのは?」

「音声が飛び飛びだったからよく聞き取れなかったけど、
何かぎこちない感じだった」

「…そうか」

もし2人も僕と同じように
僅かな命だったとしたら

僕はどんな顔をすればいい?
どんな言葉を話せばいい?

いくら自問自答を繰り返してもその答えは、
目まぐるしく色々な形を刻み
《答え》を
導き出しても、
それは違うと自分に言い聞かせ
また自問自答が始まる。

彼は決してただ一人で
考え込んでも答えが出る事はない
迷宮に迷い込んでいた

「さーて、水も補給したし
顔を洗って目も覚めたし、
覚悟も出来た?」

少女は背を伸ばす。
そしてまたウルズを見る。

 覚悟 
その言葉が妙に重く感じた


覚悟があるのか
ないのか
正直今の自分には解らなかった。
本当は覚悟なんか
ないのかもしれない
けれど、兄弟は気になった。

だから

「ああ」

「もう少し北へ行ったところに
街があるみたい。
行って見ましょう」

そう言うと少女は立ち上がマシンの所まで歩いていく
少年も少し遅れてそれに続いた
その足取りは重く、
それは体の奥底から
沸く感情によるものか
それとも壊れかけた体のせいなのか
今の彼には分からなかった



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