彼女の瞳から涙が零れ落ちる。
ひとつでも彼の気持ちを疑った自分に。
ひとつでもこの世界に、絶望した自分に。
そして、もう彼に会えなくなる、悲しみに・・・・・
それでも彼女は、必死に笑った。
彼を少しでも、心配させたくなくて、安心させたくて。
少しでも笑っていて欲しくて・・・・・
「ウルズさん・・・・」
最後の光が、水晶に近づく。
「あ、アイリス・・・・?」
最後の光が水晶に入り込む。
「私、ウルズさんの事が」
アイリスは、今出来る最大の、とびきりの笑顔で。
「大好・・・・、いえ・・・・、愛しています」
「あ・・・ああ、僕もだ。僕も、僕も、君の事が好きだ・・・!
いや、愛している!
だから、だから!一緒に帰るんだ、アイリス!」
ウルズがそう言って、今自分に出来る全てを実行する。
無我夢中で、アイリスの事だけを考えて。
「ウルズさん。私が居なくなっても、世界の事を守って行って下さい
私も、この世界大好きでした。ウルズさんの生きて行くこの世界、絶対守ってください」
「アイリス、何を言って・・・・!だめだ、アイリス、行くな!!!」
アイリスは笑う。
そんな彼女を見て、ウルズは泪をこらえ彼女に笑顔を見せた。
ウルズの、涙で歪んだ笑顔を見て、アイリスは安心した。
最後に本当に、彼の愛を、彼からの想いを。
感じる事が出来たから
そして、アイリスは消滅した
ウルズ程の判断力と、頭脳があれば嫌でも分かっていた。
もうこうなっては彼女を助ける術はない、と。
彼女の姿を見た瞬間に、頭では分かっていた。
けれどそれを認めたくなかった。
だから理解しているのに、それを自分で否定して彼女を助ける方法を探した。
けれど、やっぱり。
アイリスが消えていく。
その真実を受け入れることができなかった。
アイリスが消滅した後、彼はその場で泣き崩れた。
アイリスが消えた事で、アポカリプスが完全体となった。
禍々しいオーラに包まれたアポカリプスは、アイリスの消滅と同時にどこかへワープしたようだが
今のウルズにはアポカリプスの行動など目に入らなかった。
一体、アポカリプスは何処へ消えたのだろうか?
一方その頃、外ではシャイルと3人が壮絶な戦闘を繰り広げていた。
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