―アイリス、今行くから、今すぐに・・・!
ウルズは、螺旋階段の真ん中をベルゲルミルで急降下していた。
そんな中彼の胸は何かの胸騒ぎで一杯だった。
急がなければいけない。
1秒でも早く彼女の元へ行かなければ・・・・
「!?」
彼はベルゲルミルを止めた。
最深部に着いたわけでも、アイリスを見つけた訳ではない。
しかし、それは確かに『彼女』だった。
神殿の壁に、ぼんやりと映し出される映像。
それは、彼女の内に眠る記憶、心を表していた。
「アイリス・・・?」
時には、大好きな彼と居る楽しい映像。
時には、暗い場所で一人俯く悲しい映像。
そんな様々な映像が神殿の壁に映し出されていた。
「これは、一体・・・・?一体なんだ・・・?!」
下へ下へ降りる度に、映像は濃くなりはっきりと映し出された。
それは、彼女に近づいてきた事を示すのか、それとも彼女が何かが起きている事を示すのか。
今のウルズにはわからなかった。
ただただ、それはウルズを急がせる。
―アイリス・・・・!!
『世界も、人も、仲間も。
僕は、全て好きだ。だから、守りたいと思う』
―!!
これは・・・!
あのときの記憶だ。
そして、その後すぐに映像は変わり楽しい、嬉しいを表す映像に変わる。
映像が切り替わったと思えば、またすぐに、
『一緒にお花畑を見に行ってくれませんかっ?』
違う映像に切り替わった。
ウルズはあることに気づく。
この場所の映像は、全てウルズと彼女の映像だった。
そして、ウルズと彼女の過ごした映像の後に流れる映像は、
彼女の楽しい、嬉しいなどの感情を表すものだと言う事に。
―アイリス・・・・。
ああ、わかってるよ。
君の気持ちはわかってる。
だって、僕も同じ気持ちなのだから。
君と居ると、楽しい、嬉しい。
いつまでもずっと、一緒に居たい。
本当は、君に直接この言葉を伝えたい。
『大好き』だ。
・・・・いや、『愛している。』
君の救う為ならば、この命捧げたって構わない。
世界を救う為に、ここまで戦ってきたはずなのに。
気づけば、君を失いたくない一心でココまできてしまった。
可笑しいね。
世界の為だの、なんだの言っていたのに。
もうそんなのどうだって良いと思える位に君を愛してしまった。
だから、今
僕は君を救いに行く・・・・!!
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