「ライクレット様―…」

「シャイルかい?どうしたんだい?」

「人形の下準備のことですが…」

「どれくらい?進んでるんだい?」

シャイルはそう言うと、球体を呼び出しライクレットに見せた。
するとその中には、数個の球体に囲まれて意識を朦朧とさせたアイリスが立っていた。

「なるほど。同調を始めようとしているところだね」

「はい」

「アポカリプスもそろそろ、完成するよ。
凄い長かったよ。数億年前かな。コレを作り出したのは」

「ライクレット様が、まだ人間だった頃・・のお話でしょうか?」

「うん、そうだよ。あの頃、ヤツらに『あの地』に連れていかれてね。
そこで、『彼』と会ったんだ。『彼』の考えに賛同して僕は、こうする事を選んだ。
けれど、今の『彼』は力と、汚れた魂に溺れてしまってね…」

ライクレットは悲しげな顔をした。
そして、アポカリプスを見た。
それは、人の姿をした神々しい巨人。

「…考えには、賛同したよ。
けれどね、『彼』と僕の考え方はまるで違ったんだ。
『彼』は世界を愛しているわけでは、なかったから…・」

そう言うと、シャイルを見つめ

「…あの時『彼ら』に会わなければこうなる事もなかったのかもね。
シャイル、君も生まれることはなかった、ごめんね」

そう言うと、シャイルは静かに首をふる。

「構いません。私達女神は、ライクレット様のお力で生まれし存在。
貴方様が、『福音』の技術を使い生み出して下さりました…。
そして、この技術がなければ貴方様の再生計画は完成致しません…」

「うん。世界を無に返した後、残った魂を抜き出し別の物質に定着させる『福音』の技術。
これがなければ、世界はただ滅ぶだけだ。」

「はい。私達がその技術を完成させる為に造られし試作品だったとしても、
私達は、ライクレット様を恨んだりは致しません。生まれてこられただけで、幸せなのです…」

「ありがとう…。シャイル」

「はい、では作業に戻ります。」

シャイルはそう言うと一礼し去り、ライクレットはアポカリプスを再び見つめた。


[ 175/240 ]

 

INDEX

[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -