「では、教えてあげましょう」

「な、なにを…?」

「あなたの妹は、イーグレット・ウルズを庇って死んだのです」

「!?」

その言葉に、驚きと戸惑いを隠せない。
大好きな妹が、私の大切な人を守って死んだ…?

「どうですか?悲しいですか?
ですが、こう考えたらどうでしょう?
妹が生きていれば、恐らくイーグレット・ウルズの方が死んでいたでしょう」

「そ、そんな…!」

淡々と氷のような声で、氷のような瞳で顔色ひとつ変えず告げる女神。

レイティスが、生きていたら、ウルズさんが死んでたなんて…

「アイリス、よく考えなさい。
この世界は今矛盾だらけなのです。世界は渇望、欲望、絶望に満ちています。
何かを望んでも、ひとつしか手に入らない。複数のものを愛するなど出来ないのです」

「それは…!」

「今だってそうでしょう?
大好きな妹を望めば、愛する人が死ぬ。両方とも手に入れることなど、不可能なのです」

現実を、述べる女神に、相対する希望と、未来を信じる人形。

「…そんなの間違ってるよ!!
私は、そんな世界信じないよっ!世界は腐ってなんかない!
人は、ちゃんとやり直そうとしてる!だから、そんなことない!!」

「では、訊きましょう。彼は、あなたを愛しているのですか?」

「え?」

その質問、意味がわからない。


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