「なんで、邪魔するの!?
人間なんて抹消したほうが良いって、あれほど思ってたじゃない!」

レイティスは叫んだ
その言葉にウルズはこう返す。

「昔はね。けれど、今は違う。
君だって言っていただろう?これは本当は良くないことだ、と」

「黙って…!!」

「良くないことだと、思うならそれを貫けばいい。
ライクレットを愛している気持ちも分かる。だけど、間違っていると、思うなら…!」

ウルズは、レイティスからの攻撃を避けながら続ける。

「自分のその意志も貫くべきなんじゃないのか!
愛するものが間違った道へ進んでいると思うなら…、それを君が正してやればいい!」

「!!」

レイティスの動きが一瞬止まる。

―私がライクレット様を正す・・・・?

そして、ウルズは更にレイティスに語りかける。

「確かに、ライクレットの考え方も間違っては居ないと思うよ。
かつての僕らも同じ考えだった。今だって、それは間違っていたとは思わない」

「じゃあ、なんで!?」

「やり方だよ。やり方が間違っていたんだ。
人間達だけを駆逐して、世界を再生する。このやり方は間違いなんだ!」

「!!」

―そうだ。かつての『アンセスター』も同じことをしていた。
ライクレット様とやり方は違うけど。やっていることは全く同じ・・・・

「僕らは、人間達と争って、負けて。初めてそれに気付いた。
そして知ったんだ。この星、この世界に生きる人間や、命の素晴らしさを」

―…素晴らしい?

『けれどね。僕は本当は人間が大好きなんだ、だって素晴らしいじゃないか?』

レイティスは、ライクレットの言葉を思い出した。

―ライクレット様も、気付いてた…

ウルズは、必死に自分の全てを。
自分が知った命の素晴らしさを訴えた。

「人は成長する。学べるんだ!
確かに、学ばなかったり、その知恵を悪巧みに利用するものも居るけれど。
そんな人間ばかりではないんだよ。レイティス」

レイティスは、ウルズの言葉を愛するあの人と重ねた。

『きっと、人には色んな可能性がある』
「人には無限大の可能性があるんだ」


『時間さえあれば、その全てがいつしか気付けるのかもしれない。』
「確かに、今は全ての人間がそれに気付くのは無理かもしれない」

レイティスの瞳から溢れ出す、感情。
言葉では説明できない想いの詰まった感情が溢れ出した。


「人はいつか必ず、気付く!今だって、もう気付いた人は世界を元に戻そうと努力している!
世界だってきっとそれに答える。いや、世界が答えるんじゃない・・・・」
          
          今を生きる命達全てが、世界を守るんだよ…!

          『世界を破壊する命達全てを、壊すしか…』


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