ヒトの形をした物が投げ捨てられる。

そこには、彼女達の前に廃棄処分された無数の人の形をするものが積まれていた。

もうその「モノ」達には、感情も記憶もない。

ただそこに横たわるだけのモノになっていた。


いずれ、自分もそうなるのだろうか?

この子達の中には、私のように意識があった者もいたのだろう

自分と同じように「死」を待つだけの時間、どれほどの恐怖、孤独を感じたのだろう?


ふと、自分と同じように捨てられた姉を見上げた。

姉は、自分がどんな状況に居るのかも分からない。これから自分がどうなるのかさえ理解していない。


姉が羨ましかった。
そんな状況で何も感じることなく、死ねるのだから。



もうどれだけの時間がたったのだろう。

相変わらず、廃棄処分されたモノ達は山積にされている。
そして、次から次へと新しく処分された者たちが放り投げられる。

しかし、自分のように意識がはっきりしているモノはいなかった。

恐らく自分は稀な失敗作だったのだろう。

そして、それは自分の不運を物語る。

この子たちと同じ失敗だったら、自分はこんな所で死を直視する事もなかっただろうに。



そして、月日は流れた―――


それは彼女の意識が朦朧とし始めた頃だった。

一筋の光が彼女の前に降り注いだ。


―――君は、生きたい?

「生きる?」

―――そう。この世界を見ていたいとは思わない?

「世界を・・・・?」

―――そう、この広い限りない末来があるこの世界を。

「それは・・・私にもある?」

―――あるさ。どんな物にだって、あるんだよ。

「なら・・・、生きたい。」

―――君にあげる。新たな命を。


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