第5話 揺り篭の許へ 
「ヨシマさんに話は伝えてきたわ
兄弟を探したいらしいので、
ちょっと探してきますってね」

そんな余裕たっぷりに言う少女に
ウルズは不安げに言う

「…どうやって探す気だ?
手がかり等何もない」

「それなら心配無用よ?
揺り篭に山ほどある予定だし」

「揺り篭、アースクレイドルか?」

この女は知らないのだろうが
アースクレイドルは僕が脱出した後
無残にも崩れ落ちてしまった。
あんな場所に手がかり等
ある訳はない。
行って見る価値等ある訳はない

「さぁ、乗って?
ぱぱっと見つけるわよ」

「行ってどうする?
あの場所は君達との戦いが原因で
廃墟しか残っていない」

「一応あるんでしょ。
ならそれだけあれば十分よ」

「…」

この女。
僕の言った意味が…
解っていないのか?
それとも他に何かあるとでも…?

揺り篭に近づくに連れ
彼の身体は
脈や動悸が速くなっていく

身体能力の低下とはまた違う。
頭の中や体の中から沸き出る
『何』かによる物だった

こんな感覚
一度も体験した事は・・・・



いや…
一度だけある気がする

    
少女が心配そうに見てくるが、
そんな事よりウルズは
この訳の解らない感情に必死に抗っていた。

「どうしたの、大丈夫?
具合でも…」

「気にしなくていい」

「そう?
もう少しで到着だけど、
少しどこかで休む?」

「大丈夫さ」

アースクレイドルに着くとそこは見事に崩れ落ち、
元の形を想像できない位
荒れ果てていた。
かろうじて残った壁がそこにあり
その横には、
赤色の起動兵器の腕が
そこには落ちている。

それを見た瞬間。
胸の奥が急に傷んだ


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