「詳しくは聞いてみないとわからないけど。彼女の世界は神によって滅ぼされた。
そして彼女は神に負けた。・・・・私だった頃にね。」

「なるほど。それで、かつての自分の弱さが嫌いで嫌悪感を抱かれてるって訳かい?」

アンサズが嫌味交じりでリズナに言う。
リズナも苦笑いしながら、答えた

「多分ね」

「シュヴァルツ・・・これからどうする?」

ウルズがリズナに尋ねる。

「なんで私に聞くのかしら?」

「これは君自身が決着をつける問題だと思う。彼女は君なんだ。
君がどうしたいか知りたい」

「・・・そうね。私は、彼女を救いたい。彼女は絶望に今にも押し殺されそう。
って、言っても自分自身だから、そんな自分を見てられないとか、見たくないってのが
本当の気持ちだけど」

「君が助けたいと言うならば、僕達は全面的に協力するよ。」

「ありがとう。私もあなた達には協力は決して惜しまない。
さぁ、ついに本題ね」

「ああ」

「アイリスとレイティスの事を考えましょう」

すると、スリサズが少し俯いた表情をして

「あいつら、人形って・・・・。人形ってなんだよ!?僕達と同じような存在だったのかっ!?」

「そうなのかもしれないねぇ・・・」

「なんだよ、それっ!あいつら、そんな事一言も・・・。そんな素振りすら見せなかったじゃないか・・・っ!」

すると、ウルズが窓の外を見ながら話しだす。

「知らなかったんだよ。」

「知らなかったって!?」

「少なくてもアイリスは自分の正体を知らなかったんだ。」

それを聞いたリズナが疑問を述べる。

「でもレイティスは知っていた。それに、時々女神達に私達の行動がばれていたのは、
恐らくレイティスが情報を流していたんでしょうね・・・・」

「そんな・・・っ!」

「・・・でもライクレットが0から作り出したものではなさそうね」

スリサズは、 なんの事かわからないと言う表情をする。
そんなスリサズにアンサズはフォローをするかにように話しだした。

「新たな命を与えられた人形・・・かい」

「ええ。ライクレットが0から作ったなら、作られた人形と言うはずでしょう?
だから、きっと神が改良や改造を加えて新しく作り変えたんでしょうね」

「その時に、アイリスは記憶をいじられた・・・?」

「・・・・おそらく」

「レイティスに関してはわからないよ。彼女の真意も僕達に対しても。
ライクレットが、レイティスを完全に手駒として動くように作っていたなら、望みは薄いかもねぇ・・・」

「・・・・・」

すると、ウルズが

「それでも構わないよ。必ず助け出す、彼女達は僕達の仲間だ。」

その言葉を嬉しく感じたスリサズが椅子から勢いよく立ち上がり

「ああ!そうさ!絶対助け出そう!」

「まぁ、当然だね。この際2人の気持ちなんか関係ないよ。
そうしないと僕達の気持ちが治まらないからねぇ?」

アンサズの言葉にリズナが少し呆れ気味になりながらも

「仕方ない子達ね。じゃ、そうと決まれば神の拠点を探し出して乗り込むとしましょうか?」

「ああ・・・!」

必ず、助ける。待っていて。アイリス、レイティス
ウルズはそう言って、窓の外を見つめるのだった。


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