「アイリスッ・・・アイリス・・・ッ!!」

ウルズは、彼女の名前を呼びテーブルに顔をうずめた。
彼らしくなかった、こんな事で取り乱すなど。
しかし、それは彼、ウルズにとってアイリスがどれほどまでに大きい存在になっていたかを
周囲の物達に伝えていた。

「・・・ウルズ。取り乱していても仕方ないわ。
起きてしまった事はもうどうしようもない。コレからの事を考えるべきよ」

リズナが冷静にそう告げると、ウルズは、顔を手で隠し

「だけど・・僕は約束したんだ・・・」

「・・・・。
その約束がどんなものだったのかは聞かないわ。聞く必要もない。
まず私達に今一番必要な事は、今起きた事の整理と・・・・」

リズナはウルズの肩に手を乗せる。

「仲間を奪還することよ」

「!」

リズナにそう言われたウルズは、はっと我に返り、周りに居る2人の兄弟を見た。
2人、アンサズもスリサズも余裕の笑みでリズナの意見に賛成していた。

「そうさ。こんな所でうじうじしてても仕方ないよ。
アイリスとレイティスを取り返す。それで解決だろ?」

「そうそう、ついでに神様にもきつい一発くれてやろじゃないか」

「ええ、・・・じゃあまず起きた事を整理しましょう。」

すると、リズナがモニターにさきほどの戦闘データと音声を流す。

「まず、ライト、いえ。ライクレット・・・。
彼の目的は一体何だったのか・・・ね」

スリサズが、ライトの事を思い出しつつ、話し出す。

「あいつ、なんで人間なんかに化けてたんだ?」

アンサズも、

「敵の頭自ら僕らのスパイだったなんて、驚きだねぇ。
しかも、見事なまでの演技力だったね」

「ライクレットは、こう言ってた。「人間として世界を見るのも悪くない」と。
これが一体どんな意味を示すのかは分からないけど、大ボス自ら視察に来ていたのは
間違いなさそうね。」

「ああ。では、次はシュヴァルツの事だ。彼女の正体は「君」
これは一体どういう事か分かるかい?」

我を取り戻したウルズはそういうと、リズナに尋ねる。

「多分ね。私が見えたヴィジョンでは彼女の世界は崩壊していた。
私の時代ではまだ崩壊もしてないし、ライクレットなんて影も形もないから、
恐らく・・・」

「おそらく?」

「あれは、平行世界の私。あの黒いのは何らかの影響で変貌したヴァルキュリア。
言ったでしょ?私のヴァルキュリアは時空の力を持ってるって。」

「言っていたね。」

「時空の力を使い、時間と空間を超えて神を追ってこの世界に来た。
これで、シュヴァルツが神を狙う理由も私を狙うわけも大方理解ができるわ」

「何故お前を狙うんだよ?」

スリサズが問う。


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