真実を求めて。 
アイリスは、神々が住まう居空間のとある場所に閉じ込められていた。
そこは、薄暗く何もない。
冷たく、無音で、自分の吐息だけが響く。

「・・・・私は・・・・」

   「人形」

レイティスに言われた言葉が頭の中を支配する。

彼に出会い、彼に惹かれ、彼と約束を交わしたその瞬間まで
彼女は自分の存在に疑問など感じなかった。

例え、自分が愛する相手が 「ヒト」でなくても。

しかし、自分の正体を聞かされた途端、それは音を立てて崩れ落ちた。

「あの人」は人間じゃなくたって構わない。

「あの人」は「あの人」だから私はそれで良い

だけど・・・

いざそれが自分の身になると、事態は一変した。


違う。

違うの。

自分が人間じゃなかった事なんてどうだっていいの。

ただ・・・、ただ・・・

自分が人間じゃないって聞いた途端、人形だって聞かされた途端。

自分の存在は、偽りだって、異物だって思ってしまった自分が嫌なの・・・

だって、それは・・・

あの人の存在をも否定してしまった事になるから・・・・



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