アイリスは怖かった。
自分達は負けてしまうかもしれない。
何もできないかもしれない。
そんなことが、いつも頭の隅にはあった。
けれど、目の前に居る彼は。
「でも、僕達は決して負けない」
そう力強く言う。
その声は、自信に満ちていて、彼を見ていると自分もそんな気になってくる。
…すごく安心できる。
だから
「はい・・・、もちろんですっ」
アイリスはウルズに賛同する。
疑いようもない。
だって彼女は、彼を信じているから。
そんなアイリスをウルズが見つめた。
「あ・・・っ、どうしたんですかっ?」
そう言って、急に恥ずかしくなり顔をそらすアイリス。
そんなアイリスに少し微笑みながら、ウルズは言う。
「…君を見ていると、不思議な気持ちになる。なんでも頑張ろうって言う気持ちに」
「そ、そんな・・・・私は、何も・・・」
顔をそらしつつ、そう答えるアイリス。
ウルズは、そんな控えめな彼女に微笑むと夜空を見上げ、
「生きてるって不思議だね。君に出会っで間もない頃は、何も出来ないような子だったのに。
今では立派な艦長だ、変わったものだね」
「それは、ウルズさんのおかげです・・・」
「そんなことないさ。君が成長したんだよ。僕も成長する事を君に教えられた」
「そんな大した事は…」
「君に何かお礼しなくちゃいけないね」
「お、お礼だなんて!」
「いや、これは僕からの気持ちだ、受け取ってほしい」
ウルズが真剣にそう言っているのがわかると、アイリスはおそるおそる彼の顔を見つめて
顔を真っ赤にする。
そして、何かを言おうとするが、やはり恥ずかしくて言うことができない。
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