ここは神々が拠点とする空間の1つ。
いつもは、ライクレットが居る場所だが、今日はいつもと雰囲気が違っていた。
いつもは眩い光に照らされている場所だが、今日は薄暗く明かりもない。
そこへシャイルが入っていく。
「・・・ライクレット様、ご報告いたします・・・」
「・・・・」
「ウィンドとアースラが倒されました」
「そう・・・。彼女達の「アレ」はどうなっている?」
「既に回収済みです」
「ならば、今は休ませてあげて。時が来たら、また働いて貰うから。
アースラにも、ウィンドにも、アクリアにも・・・ね」
「承知いたしました・・・・」
「じゃあ、僕は戻るね。今は重要な仕事の真っ最中だから」
「はい」
「この仕事が終わるまで、指揮はシャイルに任せるから。
もし、必要なら「アレ」を使ってもかまわないからね」
「分かりました。お任せください・・・」
とある森の中。
この広く深い森の中に、不自然な物が1つ。
それは漆黒の異物。
まるで、舞い降りた堕天使。
「ぐ・・っ、ゲホッ・・・っ!」
堕天使から降りた少女は、川辺にいた。
漆黒の衣装に、顔を隠すための仮面。
何の為に隠しているのかは定かではない。
それは自分の弱さを隠すためか…
それとも、自分自身に対する戒めか。
それを知るのは彼女自身のみ
「はぁ・・・ハァ・・・っ!」
少女は、膝をついた。
苦しそうに、体を抑え全身から押し寄せる痛みを無理矢理押さえ込む。
彼女には、もう本当に痛いのは何処かさえわからない。
心か。
体か。
大漁の赤いモノが流れ出てくるその身体すら、彼女は痛いと思わなくなっていた。
彼女の怪我は決して、軽くはなく、深く、痛々しい。
しかし、それでも彼女は立ち上がる。
あの時の戦いで負った傷は、本当は何処なのか
抗っても、抗っても、届くことのない力は本当は何を傷つけたのか。
自分達は傷ついていくだけなのは嫌でも分かる。
それでも立ち上がらなければならなかった、あの時の戦い
彼女はあの時≠フ憎しみを糧に又立ち上がる。
「私は…まだ…死ぬわけにはいかない…!」
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