食堂では嫌味を垂れ流すスリサズを
華麗にスルーするリズナがいた

「まったくこの船は、怪我人ぞろいだな」

「もう元気だけどね」

ココアを飲みながら、一言、言うリズナ。
すると、アンサズが

「例の子は大丈夫なのかい?
少しは落ち着いたかい?」

「アイリスが
ちょくちょく見舞いに行ってるわ。
落ち着いてきてるみたいよ」

すると、そこにアイリスとライトが現われる。

「アイリス!
っと、君!大丈夫なの?」

リズナはアイリスとライトに駆け寄る。
すると、ライトが一礼をし、挨拶する

「あの、
保護していただきありがとうございます。
僕、ライト・クレッセントって言います」

「ライトかい、よろしく。
アンサズだ」

アンサズが言うと、スリサズが

「君も不運だったね。僕はスリサズ」

「はい…。」

そして最後にウルズとリズナが

「イーグレット・ウルズだ。
君が無事でなによりだ」

「私はリズナ、リズナ・アイカワ。よろしくね」

すると、ライトが不安そうな顔をして皆に尋ねる。

「あの…
僕これからどうすればいいんでしょうか…」

「どうするって…
行くとこあるのか?」

スリサズは聞くと、ライトは首を振る

「じゃ、じゃあ、ここに居ればいいですよっ。
みなさん、親切ですし!」

アイリスが手を叩き提案すると、ライトは

「…で、でも…!」

するとウルズが、

「行くとこがないならば、ここにいれば良い。
歓迎するよ」

「…良いんですか…?」

「ああ、もちろん」

すると、ライトの顔から涙が零れる。

「お、おい、泣くなよ!?」

スリサズが思わず慌ててしまう。
すると、ライトは涙を拭き

「ありがとうございます…!
僕行くとこもなかったから、
どうしようかって不安で…っ」

今にも壊れてしまいそうなその声に、アイリスは心を痛めた
それは、その場にいる他の物も同じだ。

「ずっと一人ぼっちだと思ったら、
怖くてっ、怖くてっ」

一人ぼっちは怖い
皆がそう思っているだろう。
しかし、その場で最も彼を心配しているのは
純粋で誰にでも優しいアイリスだった。

しかし彼女はそんな状態の彼になんと声をかけたらいいのかわからない。
そんな誰もが黙り込んでいると、一番最初に声をかけたのはリズナだった。

「はいはい、もう泣くのはなしよ?
泣いてたら、幸せも逃げるって言うからね」

リズナがライトの肩をぽんっと叩くと
ライトは、頷きにっこり笑って見せる。

「…はいっ!」



その様子をドアの陰で見ていたレイティス。
ウルズ達の様子とライトの様子を確認し、呟く。

「…みんなお人好しなんだから…。
アイリス…そういうの一番傷つくのに…」

レイティスはそう言うと、その場を去っていった。


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