イクズスでは、
少年の集中治療が無事成功し眠っていた
リズナは同じ病室で
その少年の様子をじっと見つめ呟いた

「いつの時代も…
誰かが巻き込まれる…それは避けられない…」

少女はそう言った後、窓の外を思わず見つめる

「…命だけでも助かったのは…
幸か不幸か…」

そんな時だった。

「…っ…、ここは…?」

その声にリズナが気づき

「目、覚めたのね」

少年が目を覚まし
辺りをきょろきょろする。

「ここはイクズス。戦艦の中よ。
大丈夫?」

リズナが声をかけると、少年は急に涙を流し始めた。

あのときの記憶
街が襲われたときの記憶を思い出したのだろう

「…僕、…あっ、いやだっ…、
母さんっ、…父さんっ…!!」

そんな少年にリズナは、冷静に声をかける

「…落ち着いて」

「みんな、みんな、殺された!!
…どうして、…どうして…!!僕1人、生きて…っ」

少年の声は、大切なものを失った悲しみと絶望。
そして彼からそれを奪ったものたちへの憎しみに溢れていた

その様子をリズナは黙って見つめたあと、少年の肩を優しく掴み

「…落ち着いて、深呼吸しましょう」

少年は、リズナにそう言われ泣き崩れた。

「ごめんなさい…僕…」

リズナの腕で少年は泣きじゃる少年。
父、母を、そして友人や大切な人を失った悲しみ
そして一人ぼっちになってしまった孤独の中で。


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