それから3日が過ぎた。
リズナはまだ眠ったきりであり、容態のほうは大分落ち着いてきたが
目を覚ます気配なかった
ウルズは毎日リズナの見舞いに来ていた。

今日も見舞いに行くと、先にアイリスが来ていた。

「ウルズさん、今日も来てたんですねっ」

「アイリスか。うん、心配だから」

何気ない言葉。本当に何気ない言葉だ。
しかしそんな言葉はアイリスには少し痛かった。
でも、顔には出さずに会話を続ける。

「ウルズさん、最近毎日戦闘訓練もしてるんですよね?」

「うん」

「あんなに強いのに、急にどうしてです?」

アイリスがそう訪ねるとウルズは寝たきりのリズナを見る。
リズナを見たのがアイリスにも分かり、彼女の心には少し冷たい物が刺さったが
今のウルズにはそんなアイリスの気持ちは伝わらなかった。

そしてウルズはこう言う。

「…力が欲しいから…かな」

「力?」

「仲間を…守れるくらい強くなりたいんだ」

「ウルズさん・・」

「彼女は僕の目の前でやられた。
あんなに近くにいたのに…。
僕は守れなかったんだ…」

とても思い詰めたような彼。
『彼は頑張った』アイリスには凄く分かっている。
だから彼女は、躊躇わず言う。

「ウルズさん、頑張りましたよ!そんな思いつめないでください!」

「いや、…まだ、これでは足らないんだ…
だから僕は更なる高みを目指す。」

ウルズにもそのアイリスの優しさは分かっていた
けれど、今のままでは居られないのだ。
それでは仲間を守れないのだから。


マシンナリーチルドレンは全て完璧だと思っていた。
僕はその最高傑作で、
何処にも欠点なんてないとそう思っていた。

だけど、僕は今仲間1人すら守れない。
今のままではダメなんだ。
マシンがパワーアップした所で僕自身が弱いままでは。

リズナ
君は僕の事を仲間だと思ってくれていないかもしれない。
けれど、僕にとっては大事な仲間の1人なんだ。



それから数日が過ぎたが
神もシュヴァルツも幸いな事に、襲撃はしてこなかった。

シュヴァルツは、
リズナを落とした事で安心しきっているのだろうか。
神は、また何かを企んでいるのかもしれない。

相変わらずウルズはリズナの病室に通っていた。

医療機器をつけたリズナは、
時々指先を動かすまでに回復するようになった


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