そんな彼女を目のあたりにしてウルズはつぶやいた。
「僕は…」
「ウルズさん?」
「仲間一人守れない…」
いつもは決して表情を悟らせない彼が…
傷ついた仲間を見て、自分の弱さを噛みしめた。
そんな様子にアイリスはただただ、彼を心配することしかできなかった。
ブリーフィングルームでは、スリサズとアンサズが会話を交わしていた。
「シュヴァルツめ…!」
スリサズが勢いよく壁を蹴り上げる。
「何故、リズナばっかり狙うんだ!?」
すると、椅子に座ったアンサズが、首をかしげながら答える
「…リズナに恨みでもあるのかねぇ?」
「あいつは、イレギュラーだぞ!?
この時代で恨みを買うような事したっていうのか!?」
「イレギュラー…
彼らは一度過去に大罪を犯しているからねぇ。あるいは…」
「だけど!」
「彼女達は、この時代も救っている。
僕は±0だと思っているけれど」
「シュヴァルツの不可解な言葉…
あの意味はなんなんだ!」
そこへリズナの様子を見に行っていたウルズが
帰ってきて会話に参加する
「リズナはシュヴァルツから、
なんらかのヴィジョンを読み取っていたらしい。
それに何か関係があるかもしれない」
「どんなヴィジョンだったんだ?」
「深い絶望と悲しみ…と言っていた」
「? …それってどういう意味だい?」
ウルズは、顎に手をあてる。
「分からない」
「今はリズナの回復を待つしかないねぇ…」
「あいつ、助かるかな…?」
スリサズが下を向き言った。
「…きっと、助かるさ」
アンサズがスリサズに向って言う。
ウルズは、リズナの病室のほうを見る。
そして思う。
もっと強くならなければ…
仲間達を一人で守れる位に…
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