「やはりここに居たか」

リズナは後ろから何者かに声を掛けられた。
後ろを振り向くとそこにはウルズが立っている。

「リズナ…、君は一体なにを考えている?」

「…なにも?」

「シュヴァルツの事…
なにか分かっているのではないのか?」

「シュヴァルツ、か…」

「…君は一人で考えすぎるよ」

「そう見える?」

「ああ…
君はいつもそうだ。
僕達の寿命を延ばした時も一人で考え、決めた」

「…」

「今だって何か思い当たる節があるんだろう?」

「…」

ウルズは何も言わないリズナに少し間を開けた。

「君は…
僕達の事を仲間だとは思っていないのか?」

「仲間…?」

リズナは、少し俯く

「仲間…
ええ、仲間よ、今のあなた達は」

「ならば、話してくれないか?」

「…」

「リズナ…」

「シュヴァルツから見えたのは、酷く暗くて冷たいヴィジョン…」

「酷く暗い?」

「詳しくは見えなかったけど、
人々が何物から逃げ惑ってて、誰かが助けを求めていた」

「それがシュヴァルツ?」

「わからない。
最後は誰かの絶望と悲しみが見えた」

「君はシュヴァルツに
そんなものを見せられたのか?」

「どうかしら。
私が勝手に見たのかもしれないわ」

「…。僕は、君の事を仲間だと思っている」

「!」

「君も何か悩んでいることがあれば僕達を頼って欲しい」

「…」

「かつて、僕がそうしたようにね」

「ウルズ、ありがとう…。
そうね、一人で悩んでもなにも解決しないわね」

「君は、今この中で一番不安な場所に居ると思う。」

「…」

「自分の時代に帰れるかも、生き残れるかもわからないのだからね」

「…そうね」

「無論、僕達は負ける気はないけれど」

「君、本当に変ったね、敵対してた時と全然人が違う」

「君は、変ったかい?」

「…わからない」

[ 87/240 ]

 

INDEX

[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -