帰れるかも分らなければ、
この戦い生き残れるのかも分からない。
勿論負ける気などないが。

人間が一人ぼっちというのは
どれだけ辛いのだろう。

彼女とは、
もう随分長い事一緒に居るはずなのに、
僕達は彼女の事を何も知らない。

彼女は一体どんな人物なのか。
自分の命を削ってまで
節介をやくイイ人だと言う事は
分かってはいた。

しかし彼女の裏の事情までは分からない。

彼女の身体能力は、
普通の16歳の女性よりも飛び抜けて高い。
それは、戦闘用に訓練されていると
言う事を物語っていた。

しかし、彼女の能力はそれだけではない。

念動力を自在に操れる。
そんな能力まで持ち合せている

彼女は自分の事は一切口にしない。
この状況で、
一回も弱音を吐いた事は無かった。

「リズナさん…強い方ですよねっ」

強い
確かに強いのかもしれない。

だけど…
本当にそれは強いと言えるのか。


「彼女は、他人の事ばかり心配している。」

「そうみたいですね
私もいつもお世話になってますっ」

彼女は自分の殻に閉じ篭もっているのでないか?
ウルズはそんな気がした。

自分ひとりで
悩み、
傷つき、
悲しむ。

彼女は全て一人で背負い込んでいるのではないだろうか。

「アイリス
僕達の事君はどう思っている?」

「えっ?いきなりなんですか!
そ、そんなの…」

「?」

「…大事な仲間に決まってるじゃないですかっ」

「仲間か。
仲間言うのは例えばどんな事をする?」

「え、っと…
何でも相談したり、
一緒に笑ったり泣いたりできる人達…
だと思います」

なんでも相談したり、
一緒に泣いたり・・・か。

「僕達はそれはできてるかい?」

「できてますよっ!
今だってこうしてお話してるじゃないですかっ」

「そうか、ありがとう」

リズナ…
君はなにを考えている?
僕は今。
ここにいるイクズスのクルー達を
少なくとも仲間だと認めている。

皮肉なものだね。
今まで散々嫌っていた人間を仲間だと認めているなんて。
だが、今は
そんな自分も嫌いじゃない。

でも君は違うのか?

仲間だと思っているなら、
話せるはずだ。
いや…
仲間だと思っているなら僕も
彼女に聞けるはず

「アイリス、ありがとう。
少し分かった気がするよ」

「え?なにがですか??」

「リズナの所へ行って来る。
アイリスまた後で」

「は、はい、いってらっしゃいっ」

アイリスは、
ウルズの背中を見送る。

そして、一言漏らすのであった。

「大事な、仲間…か…」

そして、ずっとその場で
2人の話を聞いていた大きな
巨人の前で座りこんだ。

「私、ホント馬鹿だよね。
レイティス…」

そして、ウルズはアイリスの気持ちとは
裏腹にリズナの所へ向うのだった。



リズナ、
少なくとも僕は君の事を
仲間と認めている。

例え
かつて敵同士だったとしても。

君の思い悩んでいること、
聞かせてもらうよ。

それが仲間としてできる事だから。


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