25話 少年と少女 
ウルズは
ベルゲルミルの調整のため格納庫へ来ていた。
大幅に戦力が上がったと言っても、
ライクレット達の力は未知数であり、
シュヴァルツと呼ばれる者にも油断はならない。

その為ウルズは
愛機ベルゲルミルの調整は怠らない。

だが、リズナには
例の事を聞けずに居た。

彼女はかつてのイレギュラー、敵同士だった相手
距離を置いている訳ではなかったが、
なんとなく自分からは話掛けづらいような
そんな気がしていた。

もっとも、彼女の方は気さくにウルズ達に話かけてくるが。

彼が気になっている
「何か」
はそれだけではなかった。

ライクレット達に、
自分達の情報が洩れていることも気になっていた。
考えたくない事だが、
誰か密告者が居る可能性がある。
ウルズはそう思い始めていた。


一方その頃。

ウルズと深く関わりを持つ事になる
もう1人の少女が自分の心に正直になろうとしていた。

「どこに、居るのかな。ウルズさん…」

アイリスは、小さな箱を手にして、
艦内を走り回っていた。
その小さな箱には愛情が詰まった、
とある物を入れて。

格納庫のベルゲルミルの下へいくと、
やはりそこには「彼」がいた。

「あ。
ウルズさんこんなトコにいたんですかっ」

ウルズにアイリスが後ろから
話かける。

「アイリスか。なんだい?」

アイリスは、顔を真っ赤にしながら、
恐る恐る小さな箱をウルズに差し出す。

「今日みんなでケーキを作ったんです。
よかったら召し上がってくださいっ」

「ありがとう」

ウルズはそう言って、
ケーキを1つ手に取る。
そして1口。

「…」

「ど、どうですか?」

お世辞にも美味しいとは言いがたい。
しかし、さすがマシンナリーチルドレン。
顔色一つ変えずに、食べ終える。

「美味しかったよ」

「ほんとですか!?
よかったっ!
スリサズさんったら
まずいって言うから…どうしようかと」

(スリサズ…)

ちらりと、ウルズが
アイリスを見ると、
アイリスはとても嬉しそうにしていた。
そして、何かに気づいたように
ウルズに話しかけてきた。

「所でウルズさん?」

「?」

「最近また悩んでるんですか?」

「いや、そんな事はないが」

「さっきまた何か悩んでるような顔してましたから…」

「そうかい?」

昔の僕なら顔で、
悩んでるなど言い当てられる事は
無かったのに。
どうやら、
イクズスに乗って僕は大分変ったらしい



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