「では、あなた方私の邪魔をせぬようにしてくださいませね」

アクアマリンが月影達に、上から目線で発すると日向は

「うるさい、僕らは好きにやらせて貰う!!」

「うん…。今度こそケイパブルチルドレンを…」

美影も続いて言うが

「私の、目が届く所で被検体NO12は殺させませんわよ、分かっておいでですの?」

「殺しはしないよ!半殺しにはするけどね…!!」

日向は勢いよく言うと、シャドウを加速させた。
目標は、ケイパブルチルドレンに類する少女1人だ。
美影もシャドウに続く。目的は同じだった。

−…この子供達、本当に大丈夫ですの?
全くこれだから出来損ないは役に立ちませんのよ…!

アクアマリンはそう思うと、シャドウとシルフィーに続くのだった。



リズナは今回、まだヴァルキュリアは修理中と言う事もあり、A級魔動機『ソールフリューゲル』で出撃していた。
ファレグも、A級魔動機『ルシフェル』で戦場を駆けていた。
このA級魔動機2機は、S級対抗できるA級をコンセプトに作られている。
その為、上層部は今回その性能を確かめるべくリズナとファレグを率先的に戦場へ向わせていた。

「本当に、対抗できるんだろうな…」

ファレグが、そう言うとリズナは

「この間、PTよりだから問題ないとか言ってなかった?」

「ああ。だがいざこう出撃して見ると、不安があるな」

「確かに…腐っても魔動機だからね。精霊の強弱の弱点は存在するし」

リズナは、ソールフリューゲルの武装などをチェックし向ってくるシャドウ達に備えた。
しかし、何処か不安があった。
それは、A級だからと言う訳ではなく、彼らの出生にあった。

−あの子達…。出来れば救いたい。でもどうやって…?

そんなことを思って居ると、遠方からの射撃がソールフリューゲルを襲った。
それは、シャドウから呼び出されたシャドウボールからの遠隔攻撃だ。
リズナは上手くそれを避け、獣型のブラストグリフォンへと変形させる。
そして、一気に距離を縮めつつ、グリフォンの大口から発信されるハウリングヴォイスでシャドウを攻撃した。

シャドウは、それを上手くかわしシャドウサイズを手にし更に距離を縮める。
リズナは、獣型から人型へ戻し近接攻撃でそれに応戦した。

ビームフェンサーでシャドウの攻撃を受け止めると、火花を散らし合い互いにぶつかり合う。

「A級のくせになかなかやるじゃないか!!」

日向はそう言うと、シャドウサイズを振るう。
ビームフェンサーでそれを、かわしリズナは言う。

「…君達のこと少し仲間から聞いたわ」

「その声は、ケイパブルチルドレンッッ!!」

「君達がどんな境遇で育ったのか、どんな目に合ったのか私には分からない…。
私達のせいで、なにがあったのかも…私には分からない…」

「そうさ、お前達は何も知らない!!何も知らずにのうのうと暮らしているのが僕らは許せない!
僕らが受けた苦しみ、傷、全て受けて死んでよッッ!ケイパブルチルドレン!」

「私が言った所で、何の説得力もないかもしれない。
けれど、あの研究所に居てもあなた達は不幸にしかならなかったと思う」

「嘘だッ!じゃあ、お前はなんでそうしてここに居るんだ!?
どうせ、のうのうと生きてきたんだろ!?僕達がどんな思いで今まで生きてきたかも知らないで!!」

リズナは彼の言葉に何も言えなくなってしまう。

−違う、私は…

そう思い何か反論しようと口を開きかけるが、日向は彼女に追い討ちをかける。

「ケイパブルチルドレンなんてものが居なければ、僕らは施設から捨てられる事もなかった!!
あの施設で優秀になれば僕らは母さんや父さんの所に帰れたのに!!」

−…帰れた?
帰れないよ、だってあの施設に居た子供は…

なんと言えばいいのだろう。
なんて彼に伝えれば良いんだろう。
あの施設で起きた実験に巻き込まれて皆死んだのに、私は生きている。
そんなこと言ったって何の説得力もないのに…



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