ウルズは、ダイアモンドに接近戦を挑んでいた。
日向や美影達と違い、ダイアモンドの攻撃には無駄がなく鮮やかだった。
乗るマシンこそはS級の魔動機に達さないものの、戦闘用に作られたアンドロイドである彼女は
ありとあらゆる戦闘データが組み込まれていた為である。

−さすがに、戦闘用は動きに無駄がないね…

ウルズはそう思うと、スリサズ、アンサズと戦闘をする2機を確認した。
この2機の攻撃は、雑かつ無駄があり戦闘はあまりなれて居ないように見える。
そんな2人が戦闘用に作られたマシンナリー・チルドレンと戦っているのだから、
スリサズとアンサズが本気になれば結果が見えていた。
だが当の2人は、シャドウとシルフィーを甚振っておりそう簡単には落とさない気のようだ。

−この2人、確かファレグから聞いた話によればフェイクキャパシティーと言う物だそうだが…

ウルズは、ファレグから聞いた話を思い出す。
リズナが直接話してくれる訳もないので、彼はファレグから日向達の様子を確認していた。
そして、リズナもまだ彼らがフェイクキャパシティーである事を確信できて居ないという事も聞いていた。

ウルズは、ダイアモンドに一発フォトンライフルで牽制し、一瞬の隙を作った。
そして

「S級魔動機の2体、君達に尋ねたい事がある。君達はフェイクキャパシティーなのか?」

ウルズの言葉に、2機のS級魔動機は一旦動きを止めた。

「…なんで知ってるんだよ…。なんでお前達がその言葉を知ってるんだ!!」

日向は、一瞬驚くも豹変したかのように、ウルズにターゲットを変更した。
その瞬間、美影もウルズへとターゲットを変更する。

「フェイクキャパシティー…私達をその名で呼ばないで!!!」

狂ったように、ウルズへ襲いかかる2機にウルズは一瞬驚くも全ての攻撃を避けて見せ

−なるほど、フェイクキャパシティーと言うのは正解のようだね…

と、心の中で言うと彼らと攻撃を避けつつウルズは、更に問う。

「何故、ケイパブルチルドレンを恨む?」

「お前達に言った所で何も分かるわけないじゃないか!!僕らの受けた苦しみがッッ!!」

「そう、絶対に分からない。私達が、経験したあの生活、あの数年…!
お母さんにも、お父さんにも、他の人達からも蔑まれたあの日々…!あなた達に分かる訳ない…!!」

思わず口走ってしまったであろう、美影から飛び出た言葉にウルズの胸は酷く痛んでいた。

−…皆から蔑まれた…?何年も何年も…?

ウルズは、この時気付いていなかった。
自分が人間に対して哀れみの感情を示したと言う事に。
ただふとそう思ってしまったのだ。

日向と美影が、狂ったように行動するのを見たダイアモンドは今の2人に、冷静な判断力がないと判断し、撤退を命じた。

「撤退だって?」

「今ハ私ノ監視下。命令拒否ハ禁止サレテイル」

「…ちっ、分かったよ。紛い物!行こう、姉さん」

そう日向がダイアモンドに言うと、黒い球体に援護射撃させダイアモンドと月影姉弟は撤退して行った。
スリサズもアンサズも、まだまだ物足りないと言った様子だったが
ウルズだけは月影達から飛び出した発言に、言葉にならない感情を覚えていた。


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