「さて、来たみたいだよ?調度3人居るし、誰をどう甚振るか考えないとねぇ!」
アンサズが、接近するシャドウを見てそう高々に言った。
スリサズも、シャドウの接近を確認すると
「じゃあ、僕がこいつをやる。アンサズは後ろから来るのを頼むよ」
「いいよ、分かった。じゃ、ウルズは更に後ろに居るヤツだね、問題ないかい?」
アンサズの問いかけに、ウルズは了解し3人はそれぞれの相手を迎え撃った。
まずは先頭に立つシャドウをスリサズが、フォトンライフルで牽制する。
牽制を無視し、シャドウはスリサズの乗るヒュッケバイン・インフィニティーに襲いかかった。
しかし、そんなシャドウの攻撃は接近戦用のインフィニティーには、好都合であった。
インフィニティーは、シャドウの振り下ろされた鎌を、特殊金属を纏ったベイシェント・ナックルで受け止める。
「ハハハ、S級魔動機とか言ってもこの程度か?情けないな、じゃあ次は僕の番だな!」
インフィニティーは、ベイシェント・ナックルで、シャドウに殴りかかった。
それは一切無駄のない動きで、シャドウを圧倒して行く。
シャドウは、ギリギリながらもシャドウサイズで受け止めているが、まだスリサズには余力があるようだ。
「もうバテたのか?ハハハ、これだから人間はダメなんだよ!!」
「うるさい…!誰にも、ダメとか言われたくない…ッ、僕らは、紛いものなんかじゃないんだッッ!!!!」
シャドウは、スリサズの猛攻撃から間一髪抜け出し、黒い球体を呼び出した。
「紛い物か、なんだか知らないけど、人間なんてタダのゴミさ!だから、僕がお前を処分してやるよッ!」
黒い球体シャドウボールから呼び出される、不気味な色をした光線。
シャドウを、援護するようにして撃ち出される光線に、スリサズの攻撃もうまく通らなくなっていく。
「処分?処分、処分なんか、させるもんか…。
僕らは、ゴミなんかじゃない、僕らはちゃんとした人間だ…ッッ!」
スリサズと日向の噛み合わない会話は、ダイアモンドと交戦するウルズにもしっかり届いていた。
ダイアモンドの正確な射撃を上手く避けつつウルズは思う。
−この少年の言っている事は一体…?
人間を否定された事に怒りを覚えているわけではないのか…?
一方その頃、アンサズの乗る、ヒュッケバイン・アペイロンは遊ぶようにして、わざとシルフィーから狙いを外していた。
「ほら、逃げないと当たってしまうよ?もっと、逃げないとねぇッ!」
シルフィーは、アペイロンからの連続射撃を避けつつ、日向から漏れる憎悪に満ちた言葉を聞いていた。
「…日向、そうだ、ね…。そうだ、よ。
処分なんかされたくない、よね…。私達、普通の人間だものね…」
アペイロンからの、攻撃を避けつつぶつぶつ言う少女に、アンサズが言う。
「なんだい?ブツブツ言っちゃって、命乞いでもしてるのかい?
命乞いならもっと大きな声で言わないと聞こえないよ?」
アンサズは、嘲笑しながら言うと、シルフィーの右腕に狙いを定める。
「だから、もっと大きな声で鳴かせてやるよ、精一杯命乞いができるようにねぇッ!」
アペイロンの、二丁フォトンライフルが火を吹く。
それは見事に、シルフィーの右腕にヒットしたが、
風のミスティック能力『エアーフィールド』でギリギリ防がれておりそこまで大きなダメージには至って居なかった。
「風圧を利用した、バリアって訳かい?なかなか面白いじゃないか?
でも、そんな時間稼ぎいつまでもつかな、フフフ…」
アンサズは、自分の攻撃をギリギリな状態で持ち堪えるシルフィーで遊んでいた。
「…私、達は処分なんかされない…。させない…。
生きるの、ケイパブルチルドレンに復讐して、世界に復讐して、生きるの…!」
美影は、アンサズに対して謎めいた発言をすると、風来の扇をかざし強風を巻き起こした。
強風がアペイロンを襲うが、フォトンライフルで風に穴を空け、それを突破するアンサズ。
「風のミスティックだったかな?それはこの程度の物なのかい?こんなんじゃ僕に傷一つ付けれないよ?」
アンサズは、嘲笑い、美影を挑発する。
美影はその挑発に無言で、かまいたちを作り出しアペイロンを襲うのだった。
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