「ディバス博士、入りますわよ」
スピアはディバスの研究室に入室した。
彼女は研究室に入るやいなや、周りを確認しこう発する。
「ディバス博士、あの子達は本当に大丈夫ですの?」
「ケケケ、どういう意味でしょう?スピア殿」
「あの子達は、被検体NO12を本気で殺そうとしているそうじゃありませんの。
あんなフェイクキャパシティーに、本物のケイパルチルドレンを殺されたらたまったものじゃありませんわ」
「ケッケケ、それは大丈夫でしょう。
あなた方の育てた被検体NO12はとても強力な実験体だったはずです。
月影達に殺せるほど、柔じゃありませんよ。ケケケ」
「そうですけれどね、私達はフェイクキャパシティーに用はありませんのよ。
あの子でなければ、意味がない。くれぐれも気をつけて頂きたいものですわね」
「分かってますよ、スピア殿。
まあ、月影達には殺せませんよ、結局は何もかもフェイク、紛い物ですからねぇ!」
ディバスはそう狂ったように笑うと、スピアは彼を不審の眼差しで見つめた。
そんなやりとりを影で聞いている2人の姉弟がいた。
2人は黙って唇を噛み締め、押さえ切れない感情を必死に堪えていた。
[81/110 ]
← →
Original Top
[しおりを挟む]