「ほ、ほら。は、反抗期ってやつ?!
人間には、皆第一反抗期とかあるからさっ!」

精一杯の言い訳である。
そんなアスミの、無理な言い訳にウルズも直感的に何か感じ取ったのか、

「…そうか。おかしな事を聞いてすまなかった」

「いえいえ、とんでもないよ!」

良かった、上手くかわせた!っと、心の中でホッとするのだった。
アスミが、ホッとしている最中、ウルズがこんな一言を彼女にかけた。

「アスミ、君も何かあれば、僕に話してくれて構わない。
僕が何かの役に立つかわからないが…」

突然のウルズの意外な言葉に、アスミは思わず

「えっ?」

と、言ってしまった。
ウルズは、アスミがお隣の中田さんの事で
まだ落ち込み気味と言う事を気にかけ彼なりに気遣った言葉だった。

「あ、ありがとっ!
ウルズがそんな事言ってくれるなんてびっくりだよ!
うんうん、ウルズにそんな事言われたら、落ち込んでなんかいらんないなぁ〜。頑張んなきゃ!」

−そうだよ、こんな事で一々落ち込んでらんない…。
私にはやらなきゃいけない事があるんだもん…。
あの時の痛みに比べたら、どうって事ない…!

アスミは、“あの時”の事を思い出した。
それは、アスミが大事な人を亡くすその瞬間だった。
母親代わりだったあの人を失った時に比べればこんなの痛い内に入らなかった。


そんな時だった。ファレグからの入電だ。

「イーグレット、リジナムス。そっちに猛スピードで影が走ったとの連絡だ。確認を頼む」

「了解した。お前達、アスミ周囲を警戒してくれ」

ウルズの指示と共に3人は周囲の警戒を強めた。
そして約1分後…

「来た…!」

それは、体長20メートルはある大きな影だった。

「でっかっ、はやっっ!」

アスミが思わず口にだしてしまう程、そのスピードは速かった。


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