−仮に彼らが、あの施設の生き残りだったとしたら…何故私を恨む…?

彼女はこう思っていた。
あの施設で死んだ子供達を見ていたから。

生きていられるだけで幸せ、だと。

なのに、あの姉弟は自分を恨んでいる。
心当たりはある。
だが、確信は持てずにいた。

もし仮にそうだとしたら、自分はどんな顔をして彼らと対峙すれば良いのか。

生きていられるだけで幸せなはずなのに、生きていても尚も苦しみがある。
そんな事は、分かり切っている事だ。
逆に言えば、生きているからこそ苦しみがあるとも言える。

けれど、命を絶たれてしまえばそこで、幸せを手にする可能性は0になってしまう。
だから、彼女は『生きているだけで幸せ』だと思う事にしていたのだ。

「…ワ、おい、アイカワ聞いているのか?」

「え、あぁ…。ファレグ何?」

「何?ではない、緊急警報だ。あんなでかい音が聞こえなかったのか?」

「ごめんなさい、少し考え込んでて。それで緊急警報の内容は?」

「S級魔動機が、色々引き連れてまた御出でになられた。
…が、お前は留守番だ。ヴァルキュリアの修復が完全ではないからな」

「もう来たの!?
あれだけのダメージを与えたのに!?完全修復にはまだ時間がかかるはずよ!?」

「ああ。完全に修復はされていないと情報も来ている。
キダと、シラユキ、それにリジナムスが応戦に向かった。」

「私も出るわ、A級の魔動機なら何機かあまりがあるはず…!」

「ダメだ。相手はS級だぞ、それにお前に何らかの怨みを持っている。
そんな連中2機をAで相手にするなどリーダーとして許可はできん」

「…でも!」

「命令だ」

ファレグはリズナに待機命令を出し、自分も出撃する為格納庫へ向かった。
リズナはその場に残され、戦場が行われていると思われる方角の窓を外を見て何かを思っていた。

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