ここは、別のブリーフィングルームにイーグレット・フェフとマシンナリーチルドレン
そして、アスミ、ワカバ、ケンタが居た。
「で、もっと詳しく説明して貰おうか?」
フェフが3人に何か尋ねている。
「え…えっと…ですね…」
フェフの質問に対し困り果てる3人。
彼の質問は内容はこうだ。
“S級魔動機への対策の方法”である
シャドウとルシフィーの出現により軍上層部は対策に追われていた。
イーグレット・フェフも自分の子供達をより強力にするため
S級魔動機に対抗する手段を考えているのである。
「S級魔動機の弱点、特徴、何でも良い。早く何か答えろ」
そう強い口調で言うフェフに3人は苦笑いを浮かべた。
3人は答えようとしない、のではなく答えられないのだ。
この3人はS級に乗ってはいるがファレグやリズナに比べれば
パイロットしての歴史も、軍人としての歴史も浅かった。
そんな3人がフェフの満足のいく答えを言えるはずもなく、
ただただ不穏な空気が流れていた。
そんな空気が流れる中リズナがその部屋に入ってきた。
リズナの姿を確認した3人は、とても嬉しそうな眼差しをリズナに向けた。
−…なに、この3人揃って、気持ち悪い表情は…?
そしてリズナはイーグレット・フェフの存在に気がつく。
フェフも彼女の存在に気づき、質問の回答者をリズナに変更した。
「戦慄のヘカテー。お前に質問がある」
「…なんでしょう?」
「S級魔動機に対する他の起動兵器での対処法を教えて頂こう」
フェフの質問に対してリズナは率直に答える。
「…答えは単純です
その魔動機本体よりも強力な起動兵器を用意すればいい
勿論魔動機本体と言うのは精霊の力も含め、その魔動機全てです」
「成るほどな。その魔動機よりも強力なマシンを用意する。
実に単純かつ、明確な答えだな、ヘカテー」
フェフの言葉に、黙っているリズナ。
そんなフェフを鬱陶しそうにする彼女に助け舟を出したのは意外な人物だった。
「フェフ博士…。
結論が出たのでしたら、早めに行動に移すべきでは?」
そう発言したのは、イーグレット・ウルズだ。
ウルズの言葉にフェフも納得する。
「確かに。お前の言うとおりだな。
俺はこれから対策を練るためラボに篭る。
対策が出来次第、連絡を入れることにしよう」
そう言ってフェフは退室し自分のラボへ向かうのだった。
そんな彼が退室していくのを確認すると
「うっへぇ、緊張したー…」
ケンタが椅子にもたれ掛った。
ワカバもぐったりしながら言う。
「ケンタさんの言うとおりですね…。私あの方は少し苦手で…」
そんな2人の様子はいつもの調子だったが
たった1人いつもとが違う様子の少女が居た。
「アスミ、元気ないわね」
リズナはそんな少女に話しかける。
それに気がついたケンタがリズナに言う
「あ、あのな…。まだリズナ達に報告してない事があるんだ」
「ん、なに?」
「シャドウとシルフィーの事で一杯一杯で言うの遅れちまったけど
俺らが担当した地区の起動兵器に乗ってたの人造人間だったんだ」
ケンタの言葉をフォローするかのようにワカバは続ける。
「はい。今は持ち帰った人造人間は
研究員の方々に預けて解析してもらっているんですが…」
ワカバがそう言い終えずっと黙り込んでいるアスミを確認した。
そしてアスミが自分から喋り出さないのを確認するとワカバが話を続ける。
「…その人造人間、アスミさんのお知り合いだそうで…」
「どういう事…?」
ワカバが話す言葉の意味がわからなかった。
そしてケンタが今度はワカバをフォローする。
「アスミが言うには、顔がそっくりらしいんだ。
そうだよな、アスミ?」
ケンタに問いかけられアスミは黙って頷いた。
そしてリズナがアスミに訊ねる。
「…あなたの知り合い…行方不明者の1人だったの?」
その問いにもアスミは黙って頷いた。
頷いたアスミに、リズナは最も考えられる結論を述べる。
恐らくアスミが黙り込んでいるのも彼女と同じ考えが頭から離れないからだろう。
「…人体改造か…ッ!」
リズナから飛び出した言葉にウルズはどこか胸が痛かった。
自分も人とは違う存在であるが、彼女達の話すソレとは全く別のもの。
しかし人ではない存在になる、と言う事は自分らとそれほど変わらない。
−…人体を改造して、新たなモノを作る、か
ウルズは心の中でそう呟いた。
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