ヴァルキュリアは、闇に覆われた空間にいた。
ファレグを確認しようとするが闇に阻まれて姿も、通信も使えない。
「さあ、行くよ…?」
そう言ってシャドウが闇に溶け込む。
闇に解けたシャドウは、闇と一体化し姿を消した。
「!!」
リズナはレーダーを確認しシャドウを探す。
しかし反応はない。
「く…!!」
気配はある。
しかし確認はできない。
−どこだ…!?
ヴァルキュリアの背後に気配が走る。
しかし気づいた時には少し遅い。
「-…っ!」
シャドウサイズによる、一撃がヴァルキュリアの背後に入った。
幸い反応はそこまで遅くなかった為かすめただけに留まった
姿は見えずに声だけがその空間に浸透する。
「今のでかすっただけか…でも、いつまで持つかな…ッッ!」
その邪悪な声は、確実に彼女の命を狙うものだった。
ヴァルキュリアはシャイニング・レイの数を増やす。
シャイニング・レイによる淡い光がヴァルキュリアの周囲を照らすが
その光だけではまだこの闇を打破するには足りなかった。
-…ヴァルキュリアの光のミスティックを使えば…
そう言ってヴァルキュリアはミスティックを使用するが…
「!!」
シャドウサイズの一撃がヴァルキュリアを襲う。
ミスティックを使用する隙は与えてはくれないらしい。
-…どうする…?
考えた。
シャドウの動きを読む為の方法…この状況で最も確実な方法は…?
「死ね」
重く冷たい声が響いた。
その瞬間シャドウサイズがヴァルキュリア襲う。
しかし…
「…私にこの能力を使わせるとは…ね!」
「!!?」
シャドウのパイロットはその言葉の意味が判らなかった。
彼が気づいた時には、ヴァルキュリアがシャドウサイズを受け止めていた。
「な…っ!」
シャドウの操縦者である少年は見事に受け止められたシャドウサイズを見て驚いた。
彼は気を取り直して闇に、マシンを溶け込ませた。
「左…」
闇に少女の声が響いた。
それはシャドウが移動した方向だった。
-何故…?何故わかるんだ…!?
シャドウの操縦者は焦りを見せた。
しかし少女は正確に彼の行動を読んでくる。
シャドウが作り出し、シャドウだけが支配できる筈の闇のフィールドの中で
この女は何故自分の動きがわかる…?
少年は、考えるうちに、彼が最も嫌悪するある言葉が頭の中に浮かんだ。
彼の心は、焦り、嫌悪、憎悪に満ち満ちていた。
しかしその負の感情は彼を強くすると同時に弱さを生んだ。
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