その事態に、更に苛立ちを露にするシルフィーの操縦者
「うざい…気持ち悪い…嫌い…!」
「もうやめておいた方がいいわ。大人しく投降しなさい」
リズナがそう言うと、そんな態度が気に入らなかったのかシルフィーは
扇を手にして、猛スピードで接近してきた。
リズナはそんな闇雲な攻撃にため息をつく。
「だからそんな雑な攻撃じゃ、
私には当てられないって言ってるのよ…!」
ヴァルキュリアは光の中からライトブリンガーを取り出し
シルフィーの攻撃を受け止めた後蹴り飛ばした。
「きゃあ…!」
シルフィーが吹き飛ばれた瞬間
そのパイロットから聞こえる悲鳴がシャドウのパイロットの耳に届いた。
「!?」
シャドウは、ファレグとの戦闘を中断してシルフィーの援護に回る。
「姉さん…!!
姉さんに、姉さんによくも…ッ!」
その声は酷く憎しみに篭っている。
それを聞いたリズナも一瞬でそれを理解した。
それを見たファレグも、それが分かり
「アイカワ、注意しろ!」
「分かってるわよ!」
シャドウがヴァルキュリアに斬りかかる。
ヴァルキュリアを攻撃する最中も、シャドウに乗る操縦者は
「姉さんに、よくも…よくも…。
姉さんを傷つけたなァァァ…!」
と繰り返しながらシャドウサイズを振り続ける。
ライトブリンガーでそれを受け止めながらそれを聞いていたリズナ。
シャドウの猛攻にやや押され気味のヴァルキュリアにファレグが援護に入るが
「邪魔をするな…!A級…!
僕は姉さんを傷つけたコイツを殺すんだからッッ!」
そう強い口調で言うと、シャドウサイズから黒い衝撃波を放った。
その衝撃波は直撃していないにも関わらず近くをかすめただけで
相手のパイロットに異質な気持ち悪さを与えた。
「ぐあ…なんだ、これは…!?」
ファレグが頭を抑える。
その様子にリズナは彼を心配し、声をかける
「ファレグ!?」
自分の相手が他人の心配をしているのが気に入らなかったのか、
シャドウの操縦者は彼女に対して更に攻撃的になった
「姉さんを傷つけたお前は……
僕が、僕が苦しめて…貶めて…、塵も残さないように…殺してやる…!」
そんなシャドウの操縦者の、深い憎しみと悪意。
リズナは攻撃を受け止めながら考えた。
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