「…!」
シャドウサイズで斬りかかる相手に、ライフルで応戦する。
しかし、それは全てシャドウサイズによって切り払われてしまった。
ファレグが舌打ちし、接近戦に持ち込もうとすると、
「…君の機体、A級だね。」
シャドウの中から響くパイロットの声だ。
14,15歳くらいの男の子だろうか。
しかしファレグにとって今はそんなことどうでもよかった。
今重要なのはパイロットのことではない。
「知ってる?
A級の精霊ランクの話」
淡々と語るシャドウの操縦者。
それはファレグが今一番重要視すること、そのものだった。
「僕のシャドウはさ、S級。
つまり“高位”の精霊を守護に持ってるんだ。
これがどういう意味か、魔動機のパイロットが知らないわけないよね。」
その言葉に、ファレグは思う。
−…ああ、そうだ。こいつの言うとおり…
A級の魔動機じゃS級にミスティックが役に立たない
魔動機という言うのは、ランクがある。
そのランクと言うのは基本的には精霊の強さによって決定されている。
ヴァルキュリアを初めとしたS級は、神クラスの“高位精霊”と契約している。
A級の契約している精霊は、神と呼ばれるにはまだ力の弱い精霊や、
力はあるものの神とは呼ばれない“上位精霊”だ。
力の差は歴然としており、
神の前に他の精霊が太刀打ちできるわけがなく
その格差がミスティックに影響し、A級のミスティックは
S級に通用しないと言う現象がおきるのだ。
「何?僕のシャドウの力にびびっちゃった?」
顔は見えないものの、その笑い声は不気味で黒いのが分かる
A級魔動機との力格差に余裕しゃくしゃくと言ったところだろうか。
しかし、ファレグはそんなシャドウのパイロットに言い切った。
「確かにミスティックは使いものにならん。
しかし、それだけに頼るのは素人のやることさ」
インペトゥス・ウエンティーはビームソードを手にしシャドウへ斬り付けてきた
そんな相手の行動に、シャドウの操縦者は憎悪を露にした。
「生意気だよ…ッ!」
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