「…さて、一仕事終えたし昼ごはんにしようかしら。
やっぱ真面目に書類作ると疲れるわね」

目的の為に能力を使用し、効率を上げるリズナに、ファレグはある疑問を前々から抱いていた。
それは、彼女から“出来る”と聞いている能力の中にあった。

彼女は皆に、サイコキネシス、サイコメトリー、機械操作能力、精神系能力
の4つは使用出来ると教えていた
ファレグは精神系能力は、ある程度出来ると聞いていただけだが
恐らく心を読むくらいは容易にできる、と踏んでいた
ならば、イーグレットらにそれを使用すれば彼女の悩みも簡単に解決できるのでないか?

「アイカワ…、あいつらの心読んでみたらどうだ?」

ファレグの言葉に、立ち止まるリズナ。
彼女は少し間を置いてから、彼に返答した。

「それは絶対にやらない」

「…何故だ?心さえ読んでしまえば、全てわかるだろう?」

ファレグの言うことは間違ってはいない。

心さえ読んでしまえば、全て簡単にわかる。
彼らの思っている事も、考えている事も。
深い所まで踏込めば記憶だって読むことはできるだろう

でも、それでは

「…それでは、意味がないのよ」

「意味がない?」

「ええ…。無理矢理彼らの心を読んでもきっと分かることはなにもない。」

「…何故そう思う?」

「他人の家に土足で踏込んで喜ぶ人が居ると思う?
私は、本当に必要と思うときじゃなきゃ、それはやらないって決めてるの」

ファレグはその言葉に、なるほど…と呟く。
そんなファレグを見てリズナは

「まあ、本当はちょっと彼らの心を読んで
心の奥にある本音を知るのが怖いってのもあるけどね。
でも…やっぱ、言葉と態度で信じさせてほしいじゃない?」

「ああ。お前の言うとおりだな。俺もそう思うよ」

「でしょ、んじゃ私食堂行くけどファレグもいく?」

「いや、俺はまだ仕事がある。
どこかのお嬢さんが集めてきた物を早く処分せんといかんからな」

「なるほどね、ちゃんとシュレッターにかけといてよ?
もうこれでもかってほど微塵切りにしてね」

リズナはそう言った後ファレグに手を振り食堂へ向かう。
そんな様子を確認し、ファレグは書類に目を通し始めた。

−…暴動の参加者全員の記憶障害…か。
偶然にしては、数が多すぎるな…
何か、裏があるのか…?





そして、同時刻
美しくしなやかな、フォルムに蝶を思わせる女性型の起動兵器と、
漆黒の鎧に鎌のような物を手にした起動兵器の2機と、複数の起動兵器が市街地を目指していた。


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