「はい、ファレグ言われてたやつ」

「随分早いな」

「私はやる気さえ出せば、仕事はできる人なの」

「自分で言うことではないと思うがな…」

少し呆れ気味にリズナの持ってきた書類を目にするファレグ。
それはこの間の暴動と、戦闘のデータだった

彼女が持ってきたデータは、暴動事件の内容が多い。

「暴動を起こした人に、警察や、医者が話を聞いたらしいの。
そしたら暴れてた人みんな、暴れてた時の記憶がないそうよ」

「…全員か?」

「ええ、全員よ、誰一人覚えてないなんておかしいと思わない?」

「…ああ。不自然だな…。
罪を隠す為に全員が同じ言い訳をしている…わけはないだろうしな」

ファレグが数枚書類をめくると、
リズナがどうやって入手したのか判らない情報が沢山出てくる。
それに思わず

「…どこからこんな情報集めてくるんだ…お前は…?」

彼が目にした内容とは
暴動に参加していた人間の体調や、身体データ。
そして警察が事情聴取と思われるアリバイ等、個人データだった。

「だから言ったでしょ。やる気さえ出せば仕事はできるって」

「…そういう問題ではないレベルの情報ばかりだぞ…?
まさか警察にまでハッキングしたのか?」

「ええ。だって、そういうデータがほしかったんでしょう?」

即答するリズナにファレグは、顔を真っ青にする。

「確かに情報収集は頼んだが…、ここまでしてこいと言った覚えはないぞ…」

「大丈夫よ。もう証拠になりかねないものはゴミ箱に突っ込んだし」

「…パソコン捨てたのか?」

「まさか!そんなの捨てるわけないじゃない。プリペイド携帯よ」

そのリズナの言葉から出てくるトンデモ発言にファレグは驚く。

「プリペ…?そんなものでハッキングしたのか?」

「ええ、私ハッキングするときは、大体これ」

リズナはそう言って予備に買ったと思われるプリペイド携帯をファレグに見せる。
本当にプリペイド携帯が出てきたのでファレグが、絶句しまた大きなため息を吐いた。

「…お前の能力は…そんな事までできるのか?」

「発想と、応用よ。
悪徳業者が連絡先を知られないようにプリペイド使うでしょ、それと一緒」

さくっと言うリズナに対し、ファレグがため息をつきリズナに訊ねる。

「しかし、プリペイドでなくとも携帯では容量や、何やら足らなくて大きなことはできんだろう?」

「プリペイドは、回線だけ使わせてもらってるの。
IPアドレスを、機械操作能力で書き換えてね。後はPCでサクっと実行あるのみよ」

リズナの“機械操作能力”は、起動兵器の操縦のみに
使用していると思っていたファレグにとって
彼女の大胆すぎる行動には開いた口が塞がらなかった。


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