アスミは、アクエリアスを飲みながら携帯をいじっていた。
その向かいにはパソコンに文字を打ち込む少女が居る。
「ねえ、リズナー」
「なに?」
「なんかさぁ、イーグレット君達最近雰囲気変わった気がしなーい?」
「…3人いるけど、誰が?」
「ウルズ以外の子!
なんかこの間までそこそこ話してくれたのにまた最近無視なんだけど!」
「あなたがやかましいからじゃないの?
毎日、ずっとしゃべり続けられたら場合によっては嫌がられるわよ」
「えーっ、絶対違うって!絶対雰囲気変わったて!」
アスミの言葉をリズナは内心考えていた。
本当に彼らが、こちらを無視してくるのは何故か。
−…やはり人を…?
リズナが黙り込んで、パソコンのモニターを見つめていたときだった。
耳にアスミの声が響く。
「あー、ウルズじゃーん」
その声にリズナは顔を上げた。
アスミは彼に話しかけている。
「何してんの、こんな所君が来るとは意外だね〜」
その質問に彼は素直に答えていた。
「そうかい?時々来るんだ。
この基地内も歩き回ると何か新しい発見があるかもしれないからね」
「わー、意外!
ウルズそんな事考えてたんだ!?」
その意外な発言にアスミは凄く驚いたらしく、色々質問していた。
アスミに質問攻めされても、真面目に答えるウルズをリズナは黙ってみていた。
そんな彼女に、今度はアスミが絡んでくる。
「リズちゃん!聞ききました!?
ウルズったら、この基地放浪してんだってさ!」
「…色々興味を持つのは良いことだと思うわ。
他者の悪いところばかりに興味を持つのは感心しないけどね」
リズナの刺々しい発言に、アスミはやや言葉を失いそうになるも
「そ、そんな事ないよ!ねっ!」
アスミは、ウルズに笑顔で同意を求める。
同意を求められた彼は、少し苦笑しリズナに言葉を返した。
「…確かに、色々回れば時々は悪いことにも遭遇するが…」
「その悪い事に遭遇したときの感想は?」
リズナの質問にアスミは、「ちょ、そんな事聞かなくても…!」と言っていたが
ウルズはその質問にも素直に答える
その反応と答えはリズナにも、アスミにも想定外だった。
「“こんな日もたまには、ある”。かな」
「…随分ポジティブなのね。感心したわ」
「う、うん。ちょっとその答えは想定外かも…」
そんな2人の反応にウルズは、少しきょとんとしていた。
彼にとって特におかしいことを言ったつもりはなく、
ただ彼がその遭遇したときに思ったことを言っただけである。
ただそれだけなのが、2人はそれを“予想外”と言う。
「そうかい?」
「うん、なんかウルズって、もっとこうきつい事言うのかと思った!」
アスミは、そう言い、リズナは、彼から目を逸らしている。
ウルズは、自分から目を逸らしている少女の事が良くわからなかった。
特におかしいことを言ったつもりはないのに、何故彼女がこんな反応をするのか
彼女はその答えが気に入らないという訳でもなさそうだし、
自分達を避けてはいるが、嫌っているという雰囲気ではない。
それがわかるだけに彼女の態度はウルズにとって全くもって不可解だった。
ウルズが何かリズナに訊ねようと言葉を選んでいる最中
「私、書類できたから、ファレグに届けてくるわ。またね。二人とも」
リズナはそう言って、その場を後にしファレグのところへ向かう
そんな後姿をウルズは見ていた。
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