第13話 ココロは、自分のモノ

そこは沢山の薬品が置いてある不気味な研究室だった。
薬品は全て、人間や動物の精神に作用するものばかり。
それらはこの部屋の主のものだ

「ディバス博士、入るよ」

部屋の外から、低いトーンの声が響く。

「イヒヒヒ、いいですよ。お入りなさい」

そう言って訪問者を招き入れる、ディバスと言う部屋の主。
入ってきたのは、黒い衣装に身を包み、前髪で右目を隠した少年だった。

「…日向、どうしたのですか?あなたがここへ来るなど珍しい」

「博士の言ったとおり、町の連中の心を支配したよ。
これからどうすればいいんだっけ?」

「ケケケ…、さすがですねぇ、日向」

「…お前の好きな薬漬けで心を支配してるわけじゃないけどね。
でも、あんなの僕にかかれば簡単さ。
だって、みんな自分の意思なんか持ってないんだもん」

そう得意げに話す少年、どこか歪んでいた。
そんな少年にディバスはけらけらと笑う。

「ケケケ、いいですよ。
あなたのそういうところ大好きですよ。日向!
あなたの御姉さまもそれくらい積極的なら良いんですがねぇ!」

ディバスがそう言った瞬間、ディバスの脇を何かが通り抜けた。
ディバスが確認すると、彼の後ろの壁に1本のナイフが突き刺さっている。
それを確認した後、日向という少年の方を確認すると

「…姉さんの悪口は言うな…!」

先程とはまったく違った様子の彼がナイフを2本持ち、
憎悪と、殺意のこもった目でディバスを睨んでいた。

「ケケケ、嘘ですよ、冗談です。
では、日向次は、実力行使をしてきてくれますかねぇ?
実験材料はもう十分にありますし…。あっそうだ」

ディバスは、未だに自分を睨む少年を横目に余裕に話している。
日向はずっとこちらを睨み、これ以上姉の事を言えば本当に殺し兼ねない…そんな様子だ。

「皆さんが捕らえて来た。”アレ”を使いましょう
きーっと、楽しいことになるに違いありませんよ。わかりましたか、日向?」

ディバスが、そう言うと日向は、ナイフを閉まって頷いた。
そして、最後にもう1度ディバスを睨みつけ退室していく
日向の、退室を確認する、ディバス。
そして、こう呟くのだった。

「全く…生意気なクソガキですねぇ…。
まあ、利用できればワタシはそれでいいんですがね。ケケケ…」



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