その事件から数日後、エレメンタツナイツが日本に帰国した。
「犯人は…どう考えても帝国だろ!?」
ケンタが言う。
「この時点で…拉致事件…可能性は高いな」
ファレグも言うと、リズナは
「けど、目撃者は全員死亡、防犯カメラも全て破壊されてる。
証拠がないわ。恐ろしいほどレベルの高いテロ行為ね」
「アスミとワカバは、今行方不明者捜索の手伝いか?」
ケンタがそう尋ねると、ファレグは
「ああ、率先的に手伝いに行っている。
アイカワ、お前の方は何か分かったのか?」
「一応、カメラとかにサイコメトリーしたんだけどね。
…何もわからなかったわ」
「…サイコメトリーで何もわからん、だと?」
リズナは真剣な顔になり言う。
「ええ…。考えられる可能性は…あるけどね」
リズナはそう言うと心の中で一人呟き始める。
(あの後少し、セルシリア帝国について色々独自に調べた…
この名前どこかで聞き覚えがあったのよね…)
リズナは、少しだけだがセルシリア帝国について独自に調査をしていた。
それは幼い頃、“特殊能力研究所”で被検体として過ごしていた頃の記憶だ。
科学者達には、記憶も、感情も封じられたフリをしていたあの頃
彼女の能力の一部による力だった。
それは、“精神防御”と言うもので、
特殊能力研究所に居た頃の友人達から
“受け継いだ”ものの1つだった
その力を使用し
記憶も感情も封じられたふりをして、自らの心を封印していたのだ。
最も科学者達は自分達が、そうした事に成功したと思っていたようだが。
(あの特能研の所長…ピッド・シルクロードは
セルシリアがどうこうって言ってた気がする…
もしあの男が絡んでるのだとしたら…、
“ケイパブルチルドレン”がセルシリアにいたっておかしくはない…)
“ケイパブルチルドレン”とは
リズナのような能力を持った者達が分類されるカテゴリーだった。
念動力者とは少し違った、不思議な能力を持っており、
多彩な超常現象を発現する…
ぞくに言う超能力のような力を持った者達の事だ。
魔動機のミスティック能力とは違い、人間が自身の力だけで使用する為
あそこの研究所の科学者たちはとても興味を持っていたのを覚えている。
「…多分ね、予想だけど。
ケイパブルチルドレンが絡んでる可能性があるわ」
ファレグはケイパブルチルドレンと言う言葉に
「…ケイパブルチルドレンだと?
超能力に似た力を扱えるというアレか?」
「ええ…。能力を打ち消す能力…とかね。
サイコメトリーで何一つ読み取れないなんて…それくらいしか思いつかない」
ふむと言った様子だ。
ケンタも、何か考えているようで
「ってことは…相手は超能力者か?」
ケンタが言う
「まだ、それも居るかもしれないって所ね。
アンドロイドに超能力者…。本当なら厄介な国ね」
リズナはそしてまた考え込む。
でも…、あの頃いた
“ケイパブルチルドレン”は…、もう私以外この世には…
一方その頃、市街地では民間人による大きな暴動がおきようとしていた―…
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