第9話 ケイパブルチルドレン
とても晴れた空が包み込む、ある施設の屋上に2人はいた。
少女は少年に気付いたが、気付かないフリ
相変わらずの反応だ
ウルズは、そんな少女の隣にいちどった
少女は相変わらず無視を続けているが、
「…少しいいかい?」
少女はそんな少年に、そっけなく
「勝手にどうぞ」
「これは、俗に言うオカルトの話らしいが…」
オカルト?っと心の中で突っ込みつつ、少女は少年の話を聞いている。
「…遠い未来でヒトに作られた子供とヒトによって作られたモノが
人間に牙を向き戦争になる…と言う話を聞いた」
冷静そうな少年の口から出たその言葉に少女驚いた。
少年自身は、その話の真の意味を理解していないようだが
彼女はその話を嫌になるほど理解できた…
それは彼女も、体験してきたあの“未来”の話だからに他ならない
少女はその話を聞いてしまった少年に尋ねた。
「…その話を聞いてどう思った?
君は、ヒトという生き物についてどう考えているの?」
その質問に対し少年は答える。
「醜く、汚い…、と創造主はいつも言っているよ」
その発言に少女は…
―やっぱり…
と、心の中で思う。
しかし少年の言葉にはまだ続きがあった
「…でも僕は、彼の言うことにはあまり賛同していない」
思いがけない言葉
少女は思わず無意識に声が出た
「え?」
「僕は、人間がただ醜く汚いとは思って居ない、という意味だ」
全く予想外だった。
あの…少年から、そんな言葉が飛び出すなんて
あの未来世界での、この少年は、
ヒトを自分達より遥か下の比べる価値のないモノだと言っていた
なのに、今目の前にいる“この時代”の彼は違う事を言っている。
『長い長い年月、我らはヒトによって地球が汚されるのを見ていた。』
あのソフィア・ネートと同化したメイガスの言葉だった。
―長い年月…この子も地球がヒトによって破壊されるのを見てた…?
それを見続けてヒトに絶望した結果…
彼もあの結論を選んだ…?
「…そ、そう…。」
と、少年に言った後、本当に小さくだが少女はこう続けた。
「なんか君の事少し誤解してたかもしれない」
そうしてリズナはウルズの横を通り戻って行った
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