ウルズが、ブリーフィングルームへ行くとファレグが
なにやらデータを見つめて難しい顔をしている。

そんな彼に、ウルズは

「…何かあったのか?」

「イーグレット長男か。
さっきのセルシリア帝国の暴れてる間にな
日本では事件が起きたらしい。」

「一体どのような事件なんだい?」

「おそらくセルシリア帝国の起動兵器が暴れたらしいんだが…
それと同時に民間人が大量に行方不明になったらしい。
瓦礫の下なんかを探し回っても遺体はほとんど見つかっていないらしくてな」

そう話すと、ウルズにデータを見せる。

「…帰還命令も出ているんだね」

「ああ。全く忙しい、たまにはゆっくりしたいものだ」

ファレグが疲れきった顔をした所で、
ウルズは自身が聞きにきた本題を持ち出した。

「…君には聞きたい事がある」

「ん、珍しいな。どうした?」

「…あの、ヴァルキュリアの操縦者は何故異様に僕らを嫌うんだい?
…一番それらしい理由を本人に尋ねたが…それは検討外れだったらしい」

「…そうか。こんな話を聞いたことがあってな」

なにやらとても難しそうな顔をしている。
ファレグは少し間を空けた後、言葉を選びつつ語りだした。

「…遠い未来でヒトに作られた子供とヒトによって作られた、モノが人間に牙を向くらしい。
そして人間と戦争になる。まあ、これは俗に言うオカルトな話だが」

ウルズは突然語りだされる話に意味が分からなかった。
勿論、ファレグは“あの事件”を語っているのだが
彼に理解できるはずはなく、ウルズはファレグに問う。

「…その話と彼女に何の関係が?」

ファレグがその質問に対して。

「…アイツは、その話を信じてるんだ。
まあ、この話を信じてるのは何人も居るんだがな。
ヒトに作られたからといってお前たちを、同じだと思っているわけじゃない。
ただ、用心深いんだ、アイツは」

ウルズは、その話に
何か胸を鋭い物で貫かれるようなそんな感情を感じていた。

―何故?
その子供達は、ヒトに牙を向いたんだろう


そんな事を考えている内に、ウルズは屋上まで足を運んでいた。
そこは、少女がよく気晴らしに来ている場所でもあった。

屋上に繋がる扉を開けて見た。

そこに見えたのは、
青空と同化してしまいそうな淡い水色が風になびいていた。


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