2人が拠点に戻ると、他のチームメンバー3人も既に戻ってきていた。
「お、おっせーぞ、ファレグ!リズナ!」
そう言って、少女と少年の名前を呼んだのはとても元気そうな男の子だった。
「ケンタ達はやいじゃない。結構てこずるかと思ってたのに」
少女、リズナがそう言うとケンタはVサインをしながら
「当たり前だろ?まあ、数はかなり多かったけどな!」
ケンタが話していると後ろから女の子2人が歩いてくる。
「あらあら、ケンタさん。元気がいいですね」
「ほんと、あんな大群相手にした後だってのに、呆れちゃうよ」
丁寧な言葉遣いで喋る着物姿の女の子にファレグが言う。
「シラユキ、そちらの様子はどうだった?報告を頼む」
「はい、ファレグさん。やはりかなりの数が居ました。
その場に居るのは全て掃討しましたがなんだか大きさがまばらで・・」
「どういう意味だ?」
その言葉にファレグがたずねると、髪の毛を2つに結えた少女が付け加える。
「そう、そう、そうなの!ワカバの言うとおり、
そんなに大きさは違わないんだけどなんかちょっと他のと違うんだよね」
「ええ、アスミさんの言うとおりで・・・。
この前の任務で掃討したタイプと同じものだと聞いていたんですが・・・」
そう言って、任務で収集したデータをファレグに手渡す。
ファレグはデータを携帯端末で確認した。
そのデータをリズナも横から覗きこむ。
「ほんと、この前のとちょっと違うわね」
「ああ、少し毛並みが柔らかいようにも見えるな」
「毛並み・・・ってよくわかるわね」
リズナがその発言に驚くと、ファレグはこう答えた。
「昔犬を飼っていてな。このビーストはその犬となんとなく似ている気がする」
その話を聞いたワカバが少し悲しげな表情をし、その発言にしたいしてケンタが言う。
「なんだよ、それ。お前それじゃやりづれーじゃんか」
「仕方ないさ。これは任務だ。私情は挟めん」
そんな燐とした態度にアスミが感心し
「さっすが、ファレグ中尉!」
アスミの言葉を華麗に無視したファレグは、話を続ける。
「それで、このビーストだが」
「スルー!?ちょっとはなんか反応してもいいじゃんっ」
アスミのぼやきを横目で見つつ、ファレグが推測を述べると、リズナはその推測に対し
「なるほど・・・。でも、そうなるとかなりまずい事になるわよ」
「ああ、確認できている数でもかなりの量だからな」
「でも確かに、ファレグの推測は当たってるかも知れないわ。
動物って幼年期では毛並みが違うって言うし」
毛並みと大きさが違うのは、このビーストがまだ成長しきっていない、と言う推測で
数が多いのはどこかに巣があるという可能性だ。
ケンタも自分の携帯端末で前回までの戦闘データを確認し、
「確かに、ファレグの言うとおりだ
結構前に戦った同タイプと比べたらこいつら全然小さいぜ。
しかも、ここらで戦ったやつらはみんな同じ大きさだ」
そう言って、隣に居るアスミ、ワカバにデータを見せる。
「ファレグさんの推測が正しければ一刻も早く何とかしないと・・・!」
「そうだよ、もうかなり被害も出てるし、これ以上増えたらやばいよ!」
アスミもワカバも事の重大さに気づき真剣なまなざしで言う。
そしてリズナもリーダーであるファレグに
「ファレグ、何とかして早急に巣を見つけださなければ危険よ。
子供でこれだけの凶暴性・・・、親が出てきたりしたら被害が急激に増えるわ」
その言葉にファレグは
「ああ。わかっている。
リジナムスは東、シラユキは、南、キダは西の捜索を頼む。
アイカワは北だ。俺はここで本部と連絡をとりつつ拠点の護衛に当たる」
ファレグの指示に全員が返事をすると各自担当の場所を捜索に向かった。
[3/110 ]
← →
Original Top
[しおりを挟む]