第8話 人と機械と心

リズナは格納庫に向かって走って行った。
セルシリア帝国の起動兵器部隊が、また市街地の侵攻を始めたからだ。


今回は、黄、緑、赤のエーデルシュタインに
それぞれの色に対応した量産型のようだ。

先にファレグと、イーグレットの3人が先行で出撃していた。



「へぇ、こいつらかい?」

アンサズがいつものように余裕そうに言う、スリサズが

「瞬殺してやるよ、それでいいだろ?ニンゲン!」

(ニンゲン…恐らく俺の事か)

ファレグがそう思いつつも

「ああ、頼む」

そのファレグの言葉にウルズは

「了解した。いくよ、お前達」

そう言って真っ先に、リーダー機と思われる3機に向かっていく。
ファレグはそんな3人の戦闘力がどんなものか確認する為に
少し離れた場所で様子を見ている事にした。

「…トパーズきたで!エメラルドも準備しぃ!」

そう言ったのは赤いエーデルシュタインに乗る、
短い髪の毛をひとつに結えた赤色の少女。

「うん、ルビー…わかってるよ。トパーズも気を付けてね」

ルビーに言うのは、緑色のエーデルシュタインに乗る
大人しそうな少女で、赤の少女とは対照的に長い髪の毛を後ろで一つに結えている。

「エメラルドはいつも、他人の事を考えて…いい子だね。
でもちゃんと自分の事もしっかりやんなきゃだめだよ」

エメラルドにそう返したのは、3人の中で一番大人びた黄色の女

「わかってる…きたよ、2人とも」

「あいよ、所で“被検体No12”はどれや?」

「今の所はいないみたい」

「しゃーないな。んじゃ今きてる連中先に相手したるわ!」

真っ先に飛び出した赤色のエーデルシュタイン。
それを見たイーグレット3人。

「おやおや、きたみたいだねぇ?
じゃあ僕はこのセッカチさんを相手しようかな」

アンサズが余裕たっぷりに射撃を繰り出す。
ルビーはそれを避けるが

「へぇ、結構やるんだ?けどさ、今のも結構ぎりぎりだったよ?
…まぁ、たっぷり遊ばせて貰おうか」

アンサズはそう言ってルビーへわざと射撃を外すように狙いを定めた。
スリサズは、黄色のエーデルシュタインの相手をしていた。
3人の中で一番冷静な戦闘能力を持っているようで、頭に血が上りやすいスリサズを翻弄する。

「チッ、ちょこまかとッ!」

「…腕はいいようだね。けど、少し判断力が足らないね。
私らジュエルシリーズの判断力を甘く見てもらっちゃ困るんだよ」

トパーズはそう言うとスリサズへ狙い定め、放った。

「ああ…っ」

悲鳴をあげたのは、緑色のエーデルシュタインだった。
どうやら、彼女の場合は戦闘に迷いがある…そんな感じだった。

ウルズは、そんな事お構いなくエメラルドのエーデルシュタインに連続攻撃を加えていた。

「きゃあ…ッ!」

エメラルドが苦しそうな声をだすと、それに気付いた
トパーズがスリサズとの戦闘を中断しエメラルドの援護に入る

「エメラルドッ!」

その声を聞いた、ルビー

「ん!?大丈夫かいな!エメラルド!!」

彼女も、勿論アンサズとの戦闘を中断しエメラルドの元へ走った。
その様子にアンサズは

「なんだい?揃いも揃って、傷の舐めあいかい?」

スリサズもそんなトパーズの行動に

「ハッ!弱い奴なんか放っておけばいいんだよッ!」

エメラルドの救援に2人来た事で結果的に
ウルズの前には3人の敵がいた。

「大丈夫かい?エメラルド!」

ウルズの目の前では、緑色のマシンの横で、
その操縦者をいたわる黄色のマシン
後から、赤色のマシンもやってきて、気にかけている。

「トパーズ…ルビー…大丈夫。ありがとう…
ごめんなさい、私情けない。
ジュエルシリーズのTタイプの1体なのに…」

「バカッ!そんな事気ぃせんでええ!
エメラルドが戦闘が嫌いなのは別に悪い事でもなんでもないやろ!」

「そうさ、エメラルドは優しい子なんだ。
気にしなくていいよ、後は私らがなんとかするから休んでな」

「トパーズ、ルビー…」

そんな様子をじっと確認するウルズ。
そしてヒト段落ついたところで

「馴れ合いは終わったかい?」

そう冷たく言い放つ。
そんな言葉に真っ先に反応したのはルビー

「ああ、終わったよ。
うちの大事な姉妹をこんなコテンパにしてくれたお礼…
しっかり返したるわ!」

「…そうだね。じゃあ、行くよ、連邦軍」

そう言って2機は一斉に動き出す。
ウルズはその2機の動きを冷静に見て、トパーズよりも動きに無駄がありそうな
赤いエーデルシュタイン、ルビーにターゲットを絞った。


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