一方部屋の外ではファレグとリズナが何かを話していた。

「まだあいつらとは仲良くできそうにないのか」

「ええ」

そんな即答のリズナにファレグは

「…アイカワ、一体何が気に入らない?」

「…ファレグはプリベンターのみんなから少しは、
聞いてるでしょう?未来世界で起きた事の話」

「ああ」

「…あの世界はとても、荒廃してた。…けどね、それと同時に素晴らしかった。」

「皆そう言うな」

「みんな力を合わせて生きていた。
でもやっぱり、人類同士でも争いはおきてた…」

リズナはあの時に体験した事を思い出す。

「…数千年、いや、数億年.
彼らは地底から地球を見守っていたらしいわ」

「…きっと気の遠くなるほど長い年月だったろうな…」

「ええ…。分かってる。
そんな年月ずっと人同士で争うのを見ていたら、きっと見捨てたくなるわ」

ファレグはリズナの話を黙って聞く事にした。

「彼らは地球を愛してた。
私は地球も人間も、好き」

リズナは、この時代のマシンナリーチルドレンのいる部屋を見ながら続けた。

「本当に地球の事を考えて、何千年何万年の間揺り篭で人間を見守ってくれた。
そんな彼らに私は敬意を示したい…けれど。
やはり人類の抹殺なんて許せなかった」

「…難しいな…」

「…そんな敬意を示したいと、思いながらも
結局私達は彼らを倒すしか解決法を見出せなかった…」

「アイカワ、お前は結局…」

「…もし彼らが、予定通りアースクレイドルの管理者になったら…
やがて彼らは私達人類の敵になる…。
そして私はいくら考えてもあの時の解決方法を倒す事しか思いつかない」

そして重たい声で小さく消えそうな声で呟く。

「…あの時の解決を別の方法で見つけるまで、きっと私は彼らと仲良くはなれない
…仲良くなった後、倒すしかないなんて…悲しすぎるでしょう…?」

リズナはそう言って部屋に戻ろうしたときファレグが

「…それは、イージス計画が失敗した世界の話だ。
…その世界とはもう別の時間軸を歩んでる…
なら、あいつらがそうなるとは限らないんじゃないか?」

ファレグの言葉に間を置いてリズナは答える。

「…可能性は0じゃない」

そうして部屋に戻って行った。


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