「…私ヴァルキュリアの、整備してくるわ」

そう言ってリズナは退室した。
その様子を見送るファレグに、3人は。

「どうしたんだよ?アイツ」

「ええ、何でしょう、
アースクレイドル周辺の任務のときも様子変だったんですよ」

「まじ?!どうしちゃったの、リズナ!?」

そんな3人の会話にファレグは、言う。

「…イージス計画の事覚えてるか?」

「…覚えてるぜ」

ケンタが言い、ファレグが続ける

「お前たちは実際に参加していなかったんだったな。」

「はい、別任務で…、
確かあの時リズナさんやプリベンターの皆さんは一時行方不明に…」

「ああ、そしてイージス計画実行の直前に戻ってきた」

ファレグはそう言うと、核心の言葉を言う。

「“未来”からな」

「!?」

その言葉に驚く3人。そしてワカバが

「どういうことです…?」

「プリベンターが戻ってきた時、同時に謎の起動兵器も現れた。
それは、アースクレイドルの中核を成すメイガスシステムが、
マシンセルの力を借りてソフィア・ネート博士と同化した姿、だそうだ」

「マシンセルって確か、エアロゲイターの技術を使って作ったとかいう!?
しかも、アースクレイドルの…中核って!?」

「じゃあ、あの3人をリズナがあまり良く思わないのは!?」

「…恐らくその時、何かあったんだろうな」

その話はあまりにも信じがたい。
しかし事実。

「でも、未来って…?あっ!」

アスミが何かに気付いたように声を上げた。

「リズナがクラスチェンジを封印してるのも、それが原因!?」

「メイガスの真の目的は、時間を遡り
イージス計画を阻止することで
人類を過去から抹殺する気だったらしい」

「時間を遡るって…!?
ヴァルキュリアも精霊神の力を
完全行使すれば出来るって言われてるアレか!?」

「ああ、
ヴァルキュリアの力を完全に使いこなせればな」

「それで…、
時空の力を悪用した計画を眼の辺りにしたリズナさんは…
クラスチェンジを封印したんですね…」

「だろうな。
使い方を誤れば、全てを狂わせられる力だからな」

少し湿っぽくなった空気をアスミが振り払う。

「まぁ、クラスチェンジの件は大丈夫だよ!
確かにクラチェンを成功してるのリズナだけだから頼りたくなっちゃうけど!」

「だな!その話はコレで終わりだ。
あいつがおかしな事に使うわけねーし、
まじで必要になったらちゃんと使ってくれるはずだぜ?」

ケンタが言った後にファレグが頷き

「ああ、そうだな。じゃあマシンナリー・チルドレンの件に移すか」

ワカバが言う。

「ですね、確かにさっきのお話だと…
危険視したくなっちゃいますがそれは未来のお話なんですよね?」

「ああ。恐らくこの時代のあいつらは…
まだそんな考え持ってない…と思いたいな」

ファレグがそんな言い方をするとケンタが尋ねた

「ん?どういう意味だよ、それ
まるで思ってるかもみたいな言い方じゃん」

「お前たちは気付かなかったか?」

「なんだよ?」

3人は、?マークが頭の上にあるような顔をしている。

「…イーグレット博士は、アイカワ対して
“人間にしておくには惜しい”と言っていた」

「? なんか、人間はダメみたいな言い方ですね」

ワカバは、不思議そうに言うと、ファレグは話を続けた

「もし、人類の抹殺と言う考えが、
マシンナリー・チルドレン自身の考えではなかったとしたら?」

「え、どういう事??意味わかんない」

アスミがそう言うとワカバは

「…創造主さんの考えだったらと言う意味ですか?」

「ああ、そうだ。
人類の抹殺と言う考えは、本来イーグレット・フェフの考えであり、
それをやつらにフェフが組み込んでいたとしたら?」

そのファレグの発言にケンタは言う。

「…製造途中でその考えを持っている…かもしれねぇ」

「ああ、そう言う可能性もある。
そうだとしたら未来世界でも…
やつらは意思の有無はなかったのかもしれんな。」

全てを理解したアスミは言う。

「じゃ、じゃあ仲良く出来ないの?」

「いや、これは可能性の話だ。
…これから起こり得る可能性もあるが、今はまだ何とも言えんな」

「そっか。じゃあ私それが確定するまで仲良くしてよーっと」

アスミがそう言うと、ワカバも

「そうですね。確定した後でも仲良くしていたいですが…
私も彼らと普通に接します」

「もち、俺も!
…けどリズナはどうするよ?」

ケンタの言葉にファレグは考える。

「難しい問題だな…。
未来世界での話は度々色々な経験者から聞いたが…
誰に聞いても壮絶な戦いだったと言うほどだしな…」

「…難しいね…」

「少し様子を見てみるしか…ないかもしれんな」








リズナは、格納庫に来ていた。
ヴァルキュリアの隣に量産型のヒュッケバインが運び込まれている。

おそらくあの3人の者だろう
当の3人の姿は見えないようだが。


(…私は、彼らを信用できない…)


リズナはそう思うとヴァルキュリアを見つめた。



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