リズナは黙りこんでいた。
その反応にワカバが、代わって相手の真面目そうな少年へ応答した
「は、はい。すみません、お願いします」
「…了解しました。」
少年は、機械のような冷たい口調でそう言った。
その声をリズナは聞いている。
(こいつは…、イーグレットの中で最もメイガスの傍にいた…やつか)
思い出すのは
未来世界のあの冷たく、機械のなような感情のない声。
そしてその冷たい声で語られるのは、人類への
嫌悪と、深い重い理想。
ずっと黙り込むリズナにワカバは
「リズナさん、リズナさん!」
「! ああ。何?」
「どうしたんです?気分でも悪いんですか?」
「いえ、大丈夫。
協力…ってことになったのね…」
「あ、はい。でも既になんか片付けちゃったみたいですね…
凄い戦闘力ですね…。
あれ、量産型のヒュッケバインですよね?」
「…ええ」
リズナも確認したが、確かに3人は既にビーストの処理を終えていた
戦闘時間は5分もないだろう。
ビーストは原形もとどめない程に綺麗に処理されており、
その処理速度や美しいほどの操縦技術は恐ろしいほどだった。
それは彼らの戦闘力を、物語る。
ましてや量産型ヒュッケバインでそれをやってのけて見せたのだ。
彼らがもっと強力な起動兵器や力を手にしたら…どうなってしまうのだろう
考えただけで恐ろしかった。
リズナが考え付く先の結果は一つだけ。
“あの時”の再来だ
「…駆除は終了した。では、僕らはこれで失礼します。」
真面目そうな少年の声が通信機から聞こえた。
その声に、何かを思いながらをリズナは答えた。
「…はい、お疲れ様です。ご協力ありがとうございました…」
―もし、あの時のような事がこの時代で起こったら?
どうなる?
また戦わなくてはならないのか?
そんな事を考えながら、彼女は彼らがアースクレイドルへ戻るところを見ていた。
[17/110 ]
← →
Original Top
[しおりを挟む]