「リズナ…」
「くそっ、あの子達を取り戻せなかった…!!
あいつらに渡ればまたきっと、利用されるわ…!」
「うん…。なんか様子もおかしかったし…、一体どうなってるんだろう…」
「…一つだけ言えるのは、きっとあの子達はまた魔動機に乗せられるわ…
そしてきっと、また…」
−犠牲に…
リズナはそう言って、拳をきつく握り締め唇をかみ締めていた。
セルシリアの侵攻が終わり避難していた住民は家に戻っていた。
大地もその一人で、彼は避難している間もずっと謎の声に悩まされていた。
−負けたくないって何にだよ…
復讐ってなんだよ…
全部聞こえていた。
大地には、彼の悲痛なる叫びが、悲痛なる泣き声が。
−あの魔動機に乗ってるやつなのか…?
じゃあ、もう1人の声は誰なんだ…?
帰宅する間に必死に考えた。
謎の問、謎の質問。
あの声は自分になぜこんな質問をしてくるのか。
なぜあの声と同時にいつもこんな悲しい叫び声が聞こえるのか。
だが、次第に質問されていくうちに大地はある事を思うようになった。
それはいつも同じ答えだった。
大地にとっては分かりきっている事、簡単な答えだった。
だがそれを答える前に、いつも謎の声の主は別の声に変わってしまう。
その声の主にも言いたい事があった。
本当にあの魔動機に乗っている者なのだったとしたら、面と向って言ってやりたい事だ。
−ふざけんじゃねぇ…。
自分が要らないなんて、必要ないなんて。
居場所がないなんて。
−そんな事あるわけねぇ!
誰にだって居場所はある、作れる。
−全世界に復讐する前に、お前らは…
自分を必要としてくれる人を探したのか。
もしかしたらいるかもしれないじゃないか、お前らを必要としてくれる人が。
−お前らが見てんのは、昔だけだ。今を、見てねぇ…
未来は今作るもんだ。昔を見て作るものではない。
−今度聞こえてきたら、それをはっきり言ってやる…!
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