「さぁて、そろそろかな?
ケイパブルチルドレン!!そこのS級魔動機を殺せ!」
日向はヴァルキュリアへそう命令していた。
アスミもその命令に警戒を高めるが、ヴァルキュリアからの反応はない。
「何をしてるんだ!?もう僕の精神支配は効いている頃なのに!!」
濃い闇の靄はヴァルキュリアの周りを踊るように舞っていた。
中は見えないほど濃厚で、不気味さを漂わせる。
「聞こえなかったのか!そこのS級を殺すんだ!!」
すると、濃い闇の霧の中からヴァルキュリアの腕が勢いよく飛び出した。
ようやく反応したヴァルキュリアに、日向はご機嫌な様子だった。
「やっと反応したか、鈍間めっ!
さあ、さっさとそのS級殺した後自害しろ!ケイパブルチルドレン!」
闇の霧から、姿を現したヴァルキュリアは日向の言葉に無反応だった。
だが、光の玉を召喚してみせた。
「り、リズナ…!本気なの…!?」
アスミが、身構える。
だが…
「…残念だったわね。あなたの精神攻撃なかなかの物だったわよ」
リズナはそう言って、光の中からライトブリンガーを召喚した。
「…戦わないつもりだった…。けれど、あなたの見せてくれた物のおかげでようやく決心が付いたわ」
ヴァルキュリアはライトブリンガーをシャドウに向けて掲げた。
「私は、色んな人の屍の上に立っている…!だから、私はこんな所であなた達に殺される訳に行かないの」
「ぼ、僕の精神支配から抜け出すなんて…!?なんで!!!?どうして!!?」
「私は、戦うわ。私を今まで支えてくれた人達の為にも。そして君達の為にも」
「何を意味の分からない事を!!いいよ、分かったよ…
これがお前と僕の差って訳かッッ!!くそッ!!」
シャドウがシャドウサイズと、シャドウボールを構えて戦闘の準備に入った。
シルフィーも、風来の扇をかざした。
アスミは、リズナに泣きそうになりながら通信を入れた。
「リズナ!!もう心配かけないでよっ!本気で心配しちゃったよ!!」
「ごめんなさい。でもそのおかげでようやく決心がついたわ。
もう誰一人ケイパブルチルドレンのために犠牲は出さない。アスミ、あの子達を無理矢理引き釣り降ろすわよ!!」
リズナはアスミの通信に応答すると、泣きそうなアスミに微笑んだ後そう言った。
「うん!あの中でなにが起きたかわかんないけど…!リズナがそう言うなら全力で手伝うよっ!!」
「ありがとう。さあ、行くわよ…っ!」
リズナはライトブリンガーを構え、襲いかかってきたシャドウを受け止めた。
「クソッ!クソッ!お前と僕に差なんかあるハズない!!僕は出来そこないなんかじゃないんだからッッ!!」
リズナは無言で、ライトブリンガーを振り下ろす。
そしてシャドウの武器を弾き返した。
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