「そんな事はさせないわ。私はあなた達に人を殺して欲しくはない。
出来れば大人しく武器を捨てて投降して」

「投降しろだって?そんな事できるもんかっ!
僕達はもう決めたんだ、この世界全部に復讐するって!!
だから、投降なんてしないし、このS級魔動機から降りる気もないッッ!」

日向はそう言って、武器を構えなおす。
リズナは、セーフティレイを複数召喚するとまだ防御に徹するようだ。

「本当に戦わない気かい!?
そんなのいつまで持つかな、ケイパブルチルドレンッッ!!」

アスミは、リズナが攻撃に転じないのを見て彼女もまた攻撃を止め防御に切り替えていた。
アクアサマナーで水の壁を作り、ヴァルキュリアへ攻撃するシルフィーを防ぐ。

「リズナ、本気で戦わない気なの!?
こんなのいつまでも持たないよっ、どうにかしなきゃっ!!」

アスミから通信。
確かに、防御に徹していてもらちは開かない。
このままでは、向こうが息切れして攻撃を止めるまで耐えるか、こちらが落とされるかだ。

「…戦うしかないの…?」

リズナはそう呟きながら、シャドウとシルフィーの攻撃を耐え続ける。

「…戦わないのは、余裕の証拠ってわけかな…ッ!
じゃあ、いいよ、こっちは飛びっきりのヤツでお前を殺す事にするよ」

シャドウは一旦攻撃を止めた。
そして、シャドウボールを複数召喚する。
これから別の攻撃を繰り出すつもりなのだろうが、どんな攻撃なのか予想も付かなかった。

「リズナ、気を付けて!!
闇のミスティックがくるよっ!!」

「ええ…!」

シャドウボールは不気味な黒い靄を作り出し始めそれはやがてヴァルキュリアの周囲を覆った。

−この間の闇のフィールドとは違う…?これは一体…?

闇のフィールドとは違うが、ヴァルキュリアの周囲を覆う闇は視界を奪うほどではないが、
大分濃く、不気味にヴァルキュリアの周りを舞っていた。


「じゃあ、行くよ…!!
たっぷり苦しめッッ!スピリット・オブ・シャドウッッ!!」

日向がそう叫ぶと、闇は一層濃くなり、リズナは警戒していたはずなのだが…

「!?」

リズナが気付いた時には、彼女の視界に映るのは別の光景だった。

−こ、これは…!?

彼女の視界に映ったのは、殺風景な研究室だった。
それは、彼女は最も思い出したくないあの場所の光景だ。
そんなものを見せられた彼女は直ぐに日向が行った攻撃が精神攻撃だと言う事を理解した。


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