「あれだけの施設だ。また来る時がきたら利用するだろうからな。
最善の状態で保持したいんだろう。地球は有り得ない頻度で狙われるからな。」

「そんな大それた施設、ビーストくらい屁でもないと思うんだけど」

「いや、そうでもないと思うがな。ビーストの繁殖能力は異常だ
いずれ冬眠者を集う時にビーストなんぞがいたら落ち着いて眠れんだろう」

「それはそうね。地底に潜っちゃえばなんてことないだろうけど、
冬眠者の受け入れ時に狙われたらあっという間に永眠ね」

「縁起でもない事を言うな。あー、それからこれは噂なんだが」

「噂?何の?」

「”アースクレイドル”
本当は使われてるらしいな」

「え?初めて聞いたわよ、そんなの」

「だから、噂だと言っただろう。
DCの科学者が、何やら作っているらしい、という葉も根もない話だ」

リズナがその言葉を聞いたとき顔が曇った。
それは、かつてイージス計画中におきた「あの事件」の為だった

その様子にファレグは、

「アイカワ…お前、確かイージス計画に参加していたな」

「…ええ」

「あの時、ムーンクレイドルで戦ったあの薔薇のような起動兵器
あれは、確か”アースクレイドル”に関係している、と言っていたか」

「未来の世界で変貌した、”メイガス・システム”とDCの科学者”ソフィア・ネート”らしいわ」

「…しかし、お前の言っていた世界は、イージス計画が失敗した世界なんだろう?
なら、心配する事はないさ。この世界は成功したんだからな」

「確かにそうね…。あの未来とこの世界は、もう既に違う道を歩いてる。
…ファレグの言うとおり、ソフィア・ネート博士も、メイガス・システムもきっと大丈夫ね」

リズナはそう言って背伸びをして、リラックスした瞬間にある事を思い出した。

「あ、そういあ、私アンノウンにあったんだった」

「アンノウン?…なんで早く言わないんだ」

ファレグが呆れ気味にそう言うと、リズナが笑いながら誤魔化した。

「細かいはきにしたら負けよ?とりあえず、これがその時の映像データ。
確認したけど、会話もすべて録音できてたから見て報告しといて」

「なぜ、自分で報告しないんだ…」

「苦手なのよ、そういうの。それにさ−」

リズナはそう言って、ファレグにデータを渡しながら、話を続けた

「まあ、それ見りゃ分かると思うけど。そのアンノウン変なのよ。
なんか英語喋ったりしてたんだけど、こっちに敵意は向けて来なくて」

リズナが喋っている間にファレグはその映像データを確認する。
確かにリズナの言うとおり正体不明のアンノウンはおかしな事を口走っており
意味不明な言葉を残し飛び去って行く映像だった。

「確かに意味がわからんな。しかも、こちらに敵意はない、か」

「でしょ。どっかの残党だとは思うんだけど、
なんか見た事もないマシンだったしどこの残党か検討つかないんだよね」

「…しかし、なぜこんな山奥に居るんだ、こいつは?」

「かなりの広域捜しまわったけど
残党が潜んで居そうな所はなかったはずだし。本当に変なアンノウンね…」

「一応今回の任務の件も含めて報告はしておく。
アイカワは他のメンバーに、次の任務の伝達を頼む。明日には向かうぞ」

「え、明日ッ?早すぎじゃない?!」

リズナは明日という唐突な言葉に突っ込むが、ファレグは冷静な態度で

「ビーストの被害を抑える為だ」

その言葉に何の反論もできないリズナは、溜息をついてその場から去って行った。


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