私がこの世界にやってきてもう3日が過ぎていた。
今お世話になっている『何でも屋 鋼』には、色々な人がいた。

みんな良い人達だけど、なんか変わってる。


そんな事を思ってたら、前から女の子に話しかけられた。

「あ、月灯。ねぇマサキ知らない?」

「マサキさんですか?」

「そう、また見当たらなくてさ。本当マサキの方向音痴って凄いよね」

「うん、そうだね…。私も一緒に探すよ、リューネさん」

「ほんとに?助かるよ!」

リューネさんとマサキさんって言うのは
私やクォヴレーよりも先に地底の世界『ラ・ギアス』って場所からこの世界へやってきた人達で
ちょっとだけ私と境遇が似てる方々だった。

すっごい方向音痴で、口はちょっと悪いけどとても優しいマサキさん。
運動神経が凄く良くて、ちょっとお転婆なリューネさん。
漫才が大好きで、なんか面白い生き物を連れてる元気なミオさん。
とても落ち着いてて、たまに難しい言葉を使うけど根は優しいヤンロンさん。
物凄い甘党だけど、すっごく優しいお姉さんみたいなテュッティさん。

それから、リューネさんとマサキさんを取り合ってる?のかな?
20代後半には、見えなくて凄く美人さん!性格も可愛いウェンディさん。

もう何人か一緒にこっちへ来たらしいけど、途中ではぐれて現在探してるところなんだって…。
はぐれたのマサキさんじゃなくて良かったね…

他にも色々な方がここには居るけど皆仲良くなれそう。


暫く辺りを探しているとようやくマサキさんを見つけることができたけど…

あれ?女の人と、女の子と喋ってる。
誰だろ…?見かけない人だ。

「また、迷子なのん?マーサ?」

「う、別に迷子じゃねーよ、ちょっと散歩してただけだ!」

「それで、帰れなくなったのなら、迷子と一緒ですの」

「う…」

マサキと話しているのは、綺麗なドレスに身を包んだ外国人風の女の人と、
可愛らしいドレスに身を包んだ女の子だ。
なんか周りに居る人よりもあきらかに華やかな格好だ。

っというより、マサキさん達の周りなんか騒がしい…?

一緒にマサキ探しをしてたウェンディさんがそんな様子を見た瞬間少し慌ててマサキに駆け寄る。

「ま、マサキ!」

「お、ウェンディじゃねーか、どうしたんだよ?そんなに慌てて」

「どうしたのじゃないわ、その方達…!」

そう言ってウェンディはマサキの代わりに女の人と女の子に頭を下げた。
そんな彼女を見た女の人は

「あらん、そんな良いのよ、気にしないで?」

「しかし、女王様…」

「そんなの肩書きだけよ〜。
私だって、ちょっち前は他の人と同じだったのよん?だから、普段と一緒で大丈夫よん」

「エクセレンの言うとおりですの、そんなの一々気にしてたら人生つまらないですの」

「やだ、ミィちゃん言うわね〜」


月灯は少し遅れてマサキ達へ近寄ると、エクセレンは月灯に気付き

「あ、その子が新しくこっちに来た女の子ねん?
私は、エクセレン・ブロウニング。エクセ姉様って呼んでくれていいわよん!」

「私はアルフィミィですの、私の保護者がご迷惑をおかけしますの」

月灯は彼女らの、テンションに少しついていくのが大変そうだったがペコリと頭を下げ

「私は、葵月灯です、あの…女王様…?と、お姫様…?よろしくおねがいしますっっ!」

「月灯ちゃんも、そんな事気にしないでいいのよー、ほらっ、気楽にね?」

エクセレンは優しく微笑んだ後、何かに気付いたように言った。

「ところでそろそろ帰らないとまずいわね、四季の会議の準備しないと怒られちゃうし」

「四季の会議?」

月灯はそう尋ねると、アルフィミィが親切に教えてくれた。

「四季の宝具を持つ者と、偉い方達で年に1度行われる、とてもめんどくさい行事ですの」

「そうなのよん。
私も、ちょっと前までミィちゃんと同じ立場で参加してたけど、ミィちゃんの立場は本当めんどいわよね」

「エクセレン、そろそろ行かないとまたキョウスケに怒られますの」

「そうね〜…。そろそろ帰りましょうか。じゃあみんな、また遊びにくるわねん!」

エクセレンとアルフィミィはそう言って帰っていくと、その場に残ったマサキとウェンディが

「ウェンディ、四季の会議ってなんだよ?」

「私も、詳しくは聞いてないのだけど…。
会議の様子を国民も確認する事できるとか言ってたわ」

「あと、アルフィミィと同じ立場で参加とか言ってたけど、ありゃあどういう意味だ?」

「マサキったら…。
アルフィミィちゃんは、四季の宝具を守る、冬の巫女だって前に教えてもらったはずよ」

「ん?ってことは、前まで同じ立場で参加してたって言ってたけどよ、前はエクセレンが冬の巫女だったってことか?」

「ええ。女王に即位したと同時に、養女であるアルフィミィちゃんに席を譲ったそうよ」

丁寧に説明してくれるウェンディに月灯は

「四季の宝具って事は、あと3人守る人が居るって事なんでしょうか?」

「私達もこの世界に来て、まだ日が浅いからアルフィミィちゃんにしか会った事がないの。
けれど、四季と言うからにはあと3人居るのではないかしら?」

「確か、四季の宝具って、妖怪や鬼から狙われている…って」

月灯は少し不安そうな表情をした時、マサキがそれに気付いたのか

「そんな顔すんなよ。月灯やウェンディは俺が守るぜ」

「マ、マサキさん…?」

「ん、どうしたんだ?」

「いえ…、ありがとうございます…」

マサキさんって…
ウェンディさんやリューネさんに、何の自覚もなくこんな事いつも言ってるのかな…?

でも、こう言う風に言ってくれる人って凄く頼もしいな。





薄暗い祠のような場所で、ある男が真っ赤な水晶の前にいた。
赤い水晶から、年老いた女の声が聞こえる。

「もう四季の会議の時期か、早いものだな」

「前回の会議では、四季の巫女達は全員揃わなかったらしいのぅ」

「それは、夏の巫女のことか?それとも秋のほうか?」

「フェフェフェ、夏は海の向こうにいるからのぅ、そう毎回は来れまい。ワシが言っているのは、秋の方じゃよ」

「俺も秋には、注目している。あの巫女だけは、人と物の怪との中立を保っているからな。」

「秋をこちら側に引き入る事ができれば、事が上手く運ぶとでも言うつもりかぇ?」

「ああ、そうだ。しかし、俺としては、まず冬と夏の宝具を手に入れておきたい」

「冬と夏とは、また大きくでたものじゃな。その2つ同時に使えば拒絶反応が起こるぞ?」

「それは、無論承知している。しかし、次回の会議には夏の巫女の参加は決定しているのだろう?」

「うむ、桜の君から直接聞いたからの、間違いはあるまい」

「南部の国に、3つの宝具が確実に集まるその時期に妖怪どもに都を襲撃させる」

「では、ワシは引き続き春の巫女の監視を続けるとしよう、面白そうな事になりそうだわい…フェフェフェ…」



 

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III.風と共に舞う、真冬の花
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