本当はアレな絵本 桃太郎編
「これからお芝居をしようと思う」
「はぁ…」
感謝祭(謎)のイベントの為に集められた沙姫と仲間達に無理強いるのは、
その感謝祭の主催者だった。
「で、何のお芝居をするというんだい?」
その言葉に率直な質問を返す、ウルズ
そして、即答する主催者。
「桃太郎」
桃太郎というのは日本の御伽噺だ。
川で洗濯していたお婆さんが流れてくる桃を拾う事が話の始まり…なのだが
「…桃太郎か…」
ウルズが一言、言うと後ろに居た何人かが反論をする。
「でもさぁ、桃太郎役はまあいいけどサルとかキジとか…なぁ…」
「私何でも良いわ。一番台詞が少ないのでよろしく」
あまりやる気のなさそうな仲間達。
沙姫はそんな仲間達を見て、苦笑いを浮かべ、ウルズに尋ねる
「どうしよ…?ウルズ、何の役が良いです?」
そう尋ねてみてみるが、彼は黙り込んだままだった。
そして数分考え込んだ後…
「…やはり考えたが一番重要なのはここだった…」
その言葉に主催を含めた全員が?を浮かべた。
「1つ、尋ねる。
その桃太郎の芝居と言うのは…
裏 的 要 素 も含めた、原作忠実版なのか!?
それとも、子供用に改変された方なのか!?
数分に及んで考えた結果一番重要なのは、ここだった。
何故桃太郎が老人達の目の前に現れたのか…
非現実的な物語設定を説明するにはやはりここが最も重要な場面でもあり…」
真剣な顔で桃太郎について謎の語りを始めるウルズ。
何故か内容は桃太郎の出生の秘密についてばかりである
「あの…で、どうすれば…?」
「桃太郎を忠実に再現するのであれば、
老人達が桃太郎と出会うまでの出来事を、それはもう
濃厚に語るべきだと言っている。
即ち…!桃太郎の本当の主役は、この老人達…ッ!
僕はお爺さん役を志望する…!お婆さん役には、勿論沙姫を推薦したい」
「何言ってるんだ、お前!!
そんなもん芝居に出来るわけねーだろ!!何が濃厚に語るべきだよ!!」
「ウルズ、ちょっと体育館裏」
仲間達はこれ以上はまずいとばかりにウルズを引っ張って行ったがそれからも桃太郎について熱く語っていたそうな。
結局お芝居は、子供用に改変された方になりましたとさ、めでたしめでたし?
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